「人生一度っきりなんだから、仕事よりも趣味や家族との時間を大切にしなきゃ!」。日本でも「プライベート>仕事」という考えが定着しつつある昨今ですが、米国の邦字紙「WEEKLY Biz」CEO 兼発行人の郄橋克明さんは、自身のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の中で、米国内で遭遇した2つのトラブルを通してアメリカ人がいかに仕事への熱意が無いかを感じ「怠慢だ!」とバッサリ。そして、声を荒げて「いいからもっと働けよ!」と激怒しています。……どういうことなんでしょうか?

怠慢大国アメリカ

NYも異常に暑い日が続いています。もういい加減にして欲しいくらい(笑)。そんな不機嫌ついでに、先週、遭遇したムカついた話、聞いてください(笑)。

先日のロサンゼルス出張-。ロサンゼルスからニューヨークへの帰りの飛行機。

「レッドアイ」といって、真夜中の便で発ち、朝方JFKに到着して、そのまま朝からニューヨークで仕事をする、という結構ハードなスケジュールを選びました。

もちろんホテルで一泊して、ゆっくり睡眠を取って、朝の便で帰りたかったのですが、この時期、仕事も忙しく、一日も無駄にしたくなかった。

それに時差があるので、飛行機に乗っている時間は6時間くらいなのですが、NYに到着すると、時計の針をそれプラス3時間進ませなけりゃいけません。

つまり朝10時のフライトで帰ったとして、NYの空港に到着するのは、もう夜の7時です。 そこから荷物をとって、めちゃくちゃ長いタクシーの列に並んで、マンハッタンに到着するのは夜9時前の計算になります。

まる一日(時差のせいで)潰れちゃいます。 移動だけで。なので、多少の無理をしても、深夜に飛行機に乗り、NYで朝から動けるようなスケジュールにしました。

にも関わらず。 ちょうど、そのタイミングで。例の世界中のデルタエアラインがストップした「デルタショック」に遭遇しちゃいました。

全世界のデルタエアライン4000機が影響を受け、400機以上が運航中止になった、そのフライトでした(笑)。

僕はホテルで一泊を諦めて、レッドアイを選んだにも関わらず、空港で荷物を持ったまま、先行きもわからないまま、並んだまま、立ったまま、一泊しました(笑)。

なんなんだよ、この時間-。何度も、空港で日本語でつぶやきました。 。 。

何時間も列に並び、アナウンスも適当で、毎回違う内容で、。 。 。 いつNY行きの便が出るのかもわからないので、列から離れることもできません。

職員もいい加減で、全然統制とれてないので、それぞれが好きなことしています(あるいは何もしてないか)。で、向こうのカウンターはガラガラで、こっちのカウンターはギュウギュウで、それを引率整理してくれる人もいないので、空港に溢れた人たちは、誰の指示に従っていいのかもかわらない。

何時間も列に並んでいたにも関わらず、ひとりの職員が「ここから先の人たちはあっちのカウンターに並んで!」となぜか半ばキレながら(笑)、違う場所に人々を誘導しては、カウンターにいる別の職員に「こっちに来られても困る!!」と拒絶され、で、結果、さっきまで何時間も立ちっぱなしで並んでいた列の「最後尾」に戻されたり(笑)、そんなことを8時間くらい繰り返させられました。

怒りを通り越して、みんな笑ってました。テレビ局まで撮影に来ました。空港は野戦病院みたいになってました。もちろん、職員からお詫びのひと言もありません。

とうとうドイツ人らしきひとりの乗客が「ドイツではこんなこと絶対にないぞ!」と職員にクレームをぶつけたところ、堂々と「じゃあ、ドイツに帰れば?」と返り討ちにあってました(笑)。これ、日本だと社会ニュースになってるだろうな。

で、僕の前にいたおばちゃんがカウンターで「いい加減にしてよ、なにかお詫びのサービスはないの? 無料の軽食とか、次回のグレードアップとか」と聞くと、カウンターのブラックのお兄ちゃん、「僕の笑顔でどお?」と、きったない笑顔で返していました。 全然おもしろくない。 全然、悪びれてない。

なぜなら、彼らは何時間も立ちっぱなしにされてないから。 シッカリ、シフト通りに人は帰り、人は入れ替わってる。 なので、全体的に乗客と違って、職員はずっと笑顔でした(笑)。

結局、NYに到着したのは夜。 まったく意味なく一日という時間を潰されました。もちろん、世界中で何千人も被害にあったので、クレームを言ったところで始まりません。 この国では、そんな場合、基本、泣き寝入りです。

スイマセン、愚痴っぽいコラムで(笑)。でも、愚痴はもうちょっと続きますw

翌日、ふと、パスポートを見ると、思いっきり、VISAの有効期限が切れていることに気がつきました。

実は僕の所有する、労働ビザは「E-2」タイプといって、有効期限が切れるということがないVISA です。 というのは「投資家ビザ」なので、会社が存続する限り、基本、その間はずっと有効です。

ビザを取得した時に一応の「有効期限」は書かれるのですが、国外に出て、アメリカに戻るたび、税関で、手書きでビザの有効期限を延期してもらえます。

逆をいうと、つまりは、「有効期限」内に、必ず、国外に旅行であれ、出張であれ、出て、戻って来なきゃいけない。 年間、海外出張を6〜7回行く僕はまったく問題ないのですが、前回のハルビン帰り、JFKの審査官が、手書きで、期日を延期することを忘れていたみたいです。

完っっっ全に、JFK空港のミス。

いちおう弁護士に相談しました。 「あー、完全に空港側のミスだね〜、アメリカ人、テキトーだから、、」と、アメリカ人の弁護士に言われました(笑)。

どうすりゃいいの?と聞くと、レターを書いてやるから、空港で書き直してもらってこい、とのこと。

完全に向こうのミスなのに、こっちからわざわざ空港まで出向いて、何時間も待たされて、機嫌とりつつ、ペコペコしなきゃいけないみたいです。でも、もう慣れました。 しょうがないです、この国に住まわせてもらってるのだから。

で、近くはない空港に平日の日中、忙しい中、他のシゴトをキャンセルして行きました。 マンハッタンからJFKは、ちょうど都内から成田位の距離です。

到着したのは木曜日の昼の14時を少し回ったころでした。税関検査所、みたいなところに行こうとしたところ、入り口で止められます。

事情を話すと、また出直してこい、と黒人のセキュリティーのおねえちゃん。

は?

理由を聞くと、オフィスは毎日14時に閉まるとのこと。

は?

散々叩かれてる日本の区役所だって、17時までは働いてる。

オープンは9時とのこと。 9時〜14時の勤務時間? なんだ、それ? バイトか? 学生くんのシフトか? コンビニか? なんだ、それ?

「14時に閉まるの?」 YES 「え。 14時に閉まるの?」 YES 「14時? ツーオクロック?」 I said YES!

何度もやり取りしました。 何度も同じ質問しちゃいました。14時にシゴト終ってなにするの? しかも毎日、毎日。

憮然として、しょうがないので、明日出直して来る、と捨てセリフを言うと、明日の金曜日は休みよ!と言われました。 週明け、月曜日に来い、と。

口を開けたまま、固まりました。

月曜から木曜の9時-14時。 お年寄りの集団なの? ビザという最も大切なことの為なのに(しかもこいつらのミスなのに)また3日も待たされるの?

もう一回、いいます、天下のニューヨークの、世界一有名な空港の、最も重要な税関機関が、月〜木曜の9時-14時です。

彼ら、アメリカ人は、本当によく「人生、働いてばかりで、どうする? もっと家族との時間を増やして、趣味を作って、人生、楽しまなきゃ♪ 」と言います。ホント、よく言います。

しかも、それを日本の良識あるコメンテイターとかが、テレビで

「欧米の人は、シッカリ休みをとって人生を謳歌していますよね〜」みたいに言ってます。

だから、日本人はよくない、みたいな論調で。

バカじゃないか、と思います。 だから日本のような小さな国に一時期、経済で追い抜かれたんじゃないか、と。 だから日本は素晴らしいと、思います。

9時-14時を、9時-17時にしたら、人生楽しめないのか?

めいいっぱいシゴトをする人生でありたい。 本当の意味で趣味を楽しむ為に。

もう理屈はいいや。ええから、もうちょっと、働けよ! あめりか人!(笑)(スイマセン、、、完全に個人的な恨みで書いてますwww)。

例えば。それに付随する話かもしれませんが。

今、うちは20代の日本から来たインターンのコが多く在籍します。

その中のひとり、Aくんとしましょう。 24歳かな。 彼は口癖のように新聞社で働く、うちの社員を見て、

「僕はみなさんのように必死で働きたくないんっすよ〜」と言います。

「みなさん、一生懸命働いてますけど、なんか寂しくないっすか? シゴトばっかの人生なんてヤなんすよね〜♪ 」とニヤニヤしています。

もちろん、とても微笑ましく、 流行のファッションに身を包み、手首にジャラジャラ、アクセサリーをつけたその男の子のセリフを社員メンバーもニコニコ聞き流しています。

「やっぱ、人生、趣味っすよ! オレはシゴトだけで一生終りたくないんっすよ♪」

そればっかり云うので、ひとりの社員が「 Aくんの趣味はなんなの?」と聞くと

「休みの日はサーフィンやって、テクノ聴いてます」と誇らしげ(笑)。

「まぁ、僕みたいな異端児は、みなさんから見たら、一生懸命働けよ!って説教したくなると思うんすけど」と異端児ぶってるごくごく普通の好青年は続けます。

説教したくならないよ(笑)。普通のサラリーマンと違い、労働時間も長く、必死で時代の流れを変えようとしている、うちの社員が、まさか彼のところまで「階段を降りて」、シゴトとは何かを言い聞かせる、なんて「親切」なことはしません。

「ヘー、じゃあ、●●の海行った? マンハッタンから車で1時間行けるよ」とサーフィン好きのデザイナーの女のコが教えてあげると、彼は口ごもります。

「、、そこはまだ行ったことないんすけど」

続いて、大会名や、サーフィンの技の名前を言っても、彼はあまり知らない様子。

「ひょっとして、おかサーファー?」とそのデザイナーが笑うと、顔を真っ赤にして、否定します。

「テクノはどのアーティスト聴くの?」続いて、営業の音楽好きの社員が聴くと、彼はベタなアーティストの名前を2〜3列挙します。 テクノに詳しくない僕でも知ってる名前です。

「じゃあ、●◎や●◯は聴く?」、営業のその質問に、また口ごもります。

「知らないの? 聴いてみたらいいよ」とYouTubeのアドレスを教えて、情報をやさしく提供してました。

「、、、、はい、、ありがとうございます、、」と彼は、うつむきました。

もちろん、とってもいい子だと思います。そして、そんな彼の言う「シゴトばっかりの人生なんてイヤなんですよ」というセリフも間違ってない。 その通りだとも思います。

でも、だからって彼のところまで降りて「趣味より、シゴトの方が大切だぞ」なんて言うつもりもない。 申し訳ないけど、僕たちの「シゴト」と、彼のなんちゃって「趣味」を対等にぶつけるつもりもない。

とんでもなく忙しいうちの社員の生活の100のうち、90がシゴトであるとするならば。 彼の生活の90を占める趣味なんて、うちの社員の残りの10の趣味で凌駕する。

おまえの言ってる「人生かけてる趣味」なんて、うちの社員の「隙間の趣味」にも届かない。

「シゴトの方が大切! なんて古いですよ」と若いコが言うのならば、「そんなこと、ひとことも言ってないよ(笑)」と笑います。

シゴトの隙間でやる僕たちの趣味は、シゴトを放棄したおまえの趣味よりクオリティー高いだけだよ(笑)。

やっぱり、めいいっぱい働いて、働いて、働いてるヤツの方が、絶対、趣味を楽しんでる気がします。

image by: Shutterstock

 

『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 より一部抜粋

著者/高橋克明

全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる

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出典元:まぐまぐニュース!