客離れから衰退の一途をたどると思われた大阪のラブホテル業界が、ここへきて活況だ。追い風になっているのは、やはり中国人を中心とした外国人観光客。
 「今年に入り、団体だけではなく個人やカップルの外国人旅行者も増え、宿泊施設不足の受け皿としてラブホが使われるようになった。こちらも外国語のガイドや料理のサービスで対応するようにしていますよ」
 とは、大阪市桜ノ宮のラブホ経営者。

 今や繁華街に近い日本橋のラブホ街では外国語が飛び交い、真っ昼間から観光客が堂々と出入りする光景も見られるが、それが思わぬ波及効果を生んでいる。
 「日本人の利用客も持ち直しているんです。今やラブホ街を歩いていても、外国人に紛れて少しも恥ずかしくない。出張風俗もこの状況を喜んでいますよ」(同)

 ところで、外国人がラブホを利用する理由は、何も値段の安さや手軽さだけではなさそうだ。
 「アジア、中でも中国では、ラブホそのものに注目が集まっている。国内の性風俗への関心はまだ発展途上で、日本で言えば70年代後半のようなもの。ラブホも今後増えると見られているため“先進国”の実態を体験しておきたいということもある」(風俗ライター)

 もっとも、外国人が期待するのは「回転ベッドの問い合わせが多い」(前出・経営者)というように、昭和の時代に流行した奇抜な仕様のラブホのようだ。しかし、その類は風営法改正による規制もあり、今や絶滅寸前。
 そんな状況について、先頃、老舗ラブホの個性的な部屋をテーマに大阪市内で写真展を開いた逢根あまみさんはこう語る。
 「昔と今とでは時代が違います。でも、外国の人の目を通じて、あの遊園地みたいな感じだった昔のラブホテルに光が当たり、そこからまた新しいラブホ文化みたいなものが生まれてくればいいですね」

 日本の大事な“文化”を見直す時期かも。