中国ではエレベーターやエスカレーターの事故が多発している。重慶晩報は26日付で、2016年1月1日に施行される「重慶市電梯安全管理弁法(エレベーター安全管理法。以下、管理弁法)」を紹介する記事を掲載した。満員のエレベーターに無理に乗り込もうとする行為に対しては、最高で1000元(約1万9000円)の罰金が科せられるという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:CNSPHOTO。マンションに設置されたエレベーター。深セン市内で撮影)

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 中国ではエレベーターやエスカレーターの事故が多発している。重慶晩報は26日付で、2016年1月1日に施行される「重慶市電梯安全管理弁法(エレベーター安全管理法。以下、管理弁法)」を紹介する記事を掲載した。満員のエレベーターに無理に乗り込もうとする行為に対しては、最高で1000元(約1万9000円)の罰金が科せられるという。

 エスカレーターで多い事故は、ステップ全体が急に下向きに移動したり、ステップ一部が脱落して利用者が落下するケースだ。エレベーターでは、扉が開かなくなって閉じ込められたり、急速に乱高下する、最下階まで落下するなどだ。

 記事は、重慶市内に存在するエレベーターは約10万基で、1年当たり15%以上の速さで増え続けていると紹介。使用開始後10年以上の「老エレベーター」は6000基あまりで、年間5%の割合で増えているという。記事は改めて「エレベーターの安全を保障し、エレベーターの悲劇を途絶することは、すでに社会の共通認識」と論じた。

 市質量技術監督局(市品質技術監督局)は「管理弁法」の施行に向け、25日にマスコミ発表会を開催。利用者側の問題を是正する方策として、「管理弁法」は、重量オーバーのため作動を止めたエレベーターに、それでも無理に乗ろうとしたり、行先階のボタンをむやみに押すなどでエレベーターの故障をもたらした場合には200-1000元(約3800-1万9000円)の罰金を科す条文を盛り込んだと説明した。

 監視カメラの映像を用いて違法行為を摘発すると同時に、一般からの通報も求めていくという。

 エレベーターが故障して中に人が閉じ込められた場合には、エレベーター管理会社に対して、事故発生場所が市街地である場合には修理要員を30分以内に、郊外なら1時間以内に現場に到着させる義務を課す。違反した場合には1万-3万元(約19万)の罰金を科す。市としてはすでに検証も行っており、基本的には間に合うはずとした。

 事故発生に備えた保険については、加入を強制はしないが、エレベーター内に広告を出す企業を募集し、広告料金を保険のための原資にするなど「市場原理」を利用した保険加入の促進を目指すという。

「管理弁法」は、建築業者とエレベーターの所有者を対象にエレベーター設置の基準も詳細に定めた。マンションで建物や施設の補修の際には、物件保有者の3分の2以上の同意が必要だが、行政などがエレベーターのケーブルや安全保護装置に問題があり修理が必要と見なした場合には「緊急事態」として、行政側がまず費用を負担する形で修理を実施するという。(編集担当:如月隼人)(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:CNSPHOTO。マンションに設置されたエレベーター。深セン市内で撮影)