――50パーセントは先発の段階で変えるのか?
 
「100パーセントの変更はしない。やっぱりハイレベルな試合になるので、フィジカル的に戦わなければいけないし、イランは守備面でも攻撃面でも空中戦がかなり強い。それは彼らの長所で、空中戦では攻守ともに我々自身のクオリティで勝負しなければいけない。つまり彼らの長所を出させてしまえば、我々はかなり厳しい状況になるということだ」
 
――攻撃ではスピードを重視するところから徐々に修正しつつあると思うが、選手たちにはそれをどう表現することを期待しているか?
 
「ゲームコントロールというのは、チームがそれを選択しなければいけない。いつスピードアップを上げるのか、また下げるのか。それは我々日本代表がアイデンティティを求めていかなければいけない。我々のアイデンティティは、例えばイランがやってくるような空中戦、それからセンタリングで高いボールを蹴るということではないと思う。イランは空中戦で高いボールを使って得点を取りに来る。それは我々のクオリティではない。
 
 我々は違う方法のセンタリングを考えなければいけない。我々の目指すべきところは、グラウンダーのボールを使った早いプレー。それを相手の背後に持っていく。可能であれば、広がり、奥行きを持たせながら3人目、4人目を使う。ただ、常に動きながらのプレーを求めているし、FW陣が相手のゴールに身体を向けた状態でプレーしてほしい。
 
 ディフェンス面に関しては、ラディカルなチェンジをしたいと思っている。引きながら、下がりながら守備をするのではなくて、前に行きながら守備をしたい。これはラディカルチェンジというもの。抜本的に、根本的に変えて行く。前に守備をしながらボールを奪いに行く。ただこれがまだまだ十分に習慣づいてない選手もいて、ディスカッションを通してだけで変わるものではないと思っている。我々がしっかりトレーニングをしながら、習慣化されていかなければいけない。そのためには数か月が必要になる。
 
 毎試合、選手には勝つためにプレーしようと言ってきた。そして毎試合、かなりのビッグチャンスを作り出している。明日も(イラン戦も)、さらにもっと良いチャンスを作ってほしい。そして、各試合で何回かは我々のハイレベルなFWのアクションが見られると思う。この前も3回か4回は、かなりハイレベルなFWのアクションがあった。最後のゴール前のちょっとしたテクニック、最後の集中というところを、まだ向上させていかなければいけない。
 
 そしてフィジカル面で存在感を出すという点では、まだまだ難しい状況にある。違う長所で勝負しなければいけないということになる。そして私は同時にまた新たな選手を発掘しようとしている。どのようなタイプで、どのポジションで選手が必要なのかは理解している。そうした選手を見つけるためのトライをしたい」
 
――南野選手を初招集したが、明日の試合で彼に期待することは?
 
「彼は20歳。トレーニングを見ても、ここにいる資格はあると思っている。オフェンス面でかなり興味深く、常に動きながらプレーするし、そして常にボールを背後に要求できる。ゴール前に頻繁に現われてシュートを放ち、得点もできる選手だ。それが急に大活躍というわけでなく、やはり何年か経たなければ大きな選手にはならない。A代表に入って、いきなり偉大な選手になるわけではないので、今のところFW陣のひとりの候補ということだ。
 
 初めて彼を呼んで、今は発見している最中だが、たくさん満足できる点はもたらしてくれた。まだ20歳なので、たくさんのことが伸びると思う。おそらく次の年、さらに次の年になってくると、A代表に定着してくるような選手になるのではないか。特に、自分が所属しているクラブでしっかり毎試合出て、しっかり点を取ってくれれば、そういった選手になる可能性は高い。
 
 大きな選手ではないが、フィジカル的なパワーは十分に強いものがあると思っている。たとえば、球際のデュエルのところでも、どんな選手に対しても耐えうることができる選手だし、ヨーロッパは日本よりももっとフィジカルコンタクトが激しいので、そういったところが伸びてくるだろう。日本の選手に足りないところを持っているんじゃないかなと。そして、彼にはもっともっと戦う意識、戦闘的なところを求めていきたい」