複数のクレジットカードデータをまとめて保存して、1枚のカードで最大8枚のクレジットカードを切り替えて使うことができる万能カード「Coin」は、クラウドファンディングで製造資金を募集したところ、あっという間に資金調達に成功しました。しかし、リリースまでには予定よりも1年ほど遅れてしまうなど紆余曲折があった末に、2015年春にようやく発売されました。そのCoinを分解して中がどのようになっているのかを確かめた人が現れて、ブログで中身を公開しています。

Bits of Cents - Coin Card Teardown

http://www.bitsofcents.com/post/124593977646/coin-card-teardown

Coinがどのようなカードでどうやって使うのかは、以下の記事を見れば一発で理解できます。

クレカやキャッシュカードなど複数枚のカードをまとめて利用できる「Coin」 - GIGAZINE



ベンチャーキャピタリストのマシュー・ウィザイラーさんは、Coinを手に入れてから、これまでに4度も故障を経験しているとのこと。中には手にして12時間後に壊れたこともあったため、Coinの耐久性についてはうんざりしているそうです。「クールだけど必需品ではない」とCoinを評価するウィザイラーさんは、壊れたCoinについて「交換してもらう」か「分解する」かという二者択一を迫られたところ、好奇心が勝ち分解することに決めました。



ウィザイラーさんにはどうやら分解癖があるようで、すでにボタン一つで商品を注文できる「Amazon Dash」を分解した経験についてもブログで紹介しています。なお、Coinの分解作業はAmazon Dashよりも難度が高めだとのこと。

まずは裏面のシールを剥がす作業から分解がスタート。なお、Coinの裏面には所有者の名前が記載されているので、決済時にカード所有者のチェックが可能になっています。



磁気ストライプを損傷しないように注意深くペリペリ。茶色の部分が磁気ストライプ。よくある3トラックタイプではなく、2トラックタイプのようです。



シールを剥がし終えるとこんな感じ。プリント基板の配線がうっすら見えています。写真右下に見えるのはリチウム電池で、(PDFファイル)スペックシートによると3V電圧のものが使われており、交換は不可能な模様。



続いて表面のシールを剥いでいきます。



剥がし終わるとこんな感じ。写真右下にあるのがEインクディスプレイ、その左にあるのが操作ボタンです。なお、カード上部に「GEN 4.5」の文字があることから、このカードは第4世代から第5世代のモデルであることが分かります。Coinはクラウドファンディングで予定されていた出荷時期よりも約1年、リリースが遅れましたが、バージョンアップが必要だったことが予想できます。



Coinに搭載された唯一のチップはNordicの「nRF51822」。CPUはARMのCortex M0でBluetooth LEで通信可能。メモリは16KB/32KBで、ストレージは128KB/256KB。このチップによってCoinは最大8枚のクレジットカードデータの保存に対応します。ウィザイラーさんによると「Coinの基板上のテストポイントの多さは驚くほどである」とのこと。



Coin(上)とアメリカン・エキスプレスのクレジットカード(下)を比較すると、Coinがいかに薄いハードウェアなのかがよく分かります。



カード状に薄く部品を詰め込んだCoinの製造手法は素晴らしいと評価しつつも、あまりにも壊れやすいことは恥ずべきほどだ、と分解したウィザイラーさんは感想を述べています。