物価高が続く中、誰もが同じように苦しんでいるわけではないという指摘は、家計を預かる立場であればあるほど気になるところではないだろうか。実業家のマイキー佐野氏が自身のYouTubeチャンネルで公開した動画では、物価上昇に対する社会の受け止め方が大きく二つに分かれている現状が語られている。
 
佐野氏はまず、日本で値上げが進みにくい構造的な背景に触れる。輸入依存度の高さや為替の影響を挙げながら、長期にわたるデフレマインドが企業文化として根付いており、コスト上昇分を価格へ転嫁できず、賃金にも反映されにくい状態が続いてきたと説明した。欧米では原材料価格の変動に応じて取引条件が自動的に見直される仕組みが広く浸透している一方、日本ではそうした仕組みが乏しく、値上げへの抵抗感が特に強いことも紹介されている。企業間の交渉力の差も、こうした値上げのしにくさに影響しているという。
 
さらに動画では、所得階層によって物価高の受け止め方が異なる理由も掘り下げられた。生活必需品への支出比率が高い層は支出削減の余地が乏しく影響を強く受けやすい一方、資産運用を行っている層は物価上昇を収益機会として捉えられるため、同じ現象でも受け止め方が対照的になるという構図が示される。娯楽やサービスへの支出をめぐる日本特有の傾向や、現金中心で資産を持つ層と運用に回している層との違いも取り上げ、なぜ立場によって物価高への感情がここまで割れるのかが丁寧に整理されていく。
 
動画の終盤では、資産形成においてある心理的な節目となる金額が描かれ、複数の心理学の理論を交えながら、その金額を築くまでの道のりがなぜ最も困難とされるのか、そして超えた先で心理面や行動面にどのような変化が生まれるのかが浮き彫りにされた。損失に対する人の感じ方の癖という視点も加えながら、佐野氏は物価上昇に対する自身の立場を明確にし、その是非を単純な善悪では語らず、受け手の状況によって意味合いが変わる現象として締めくくっている。
 
家計への影響を実感している人にとって、自分がどちらの側に立っているのかを見つめ直すきっかけとなる内容だ。

チャンネル情報

マイキー佐野です 経済・金融・投資・経営・最新の研究やニュースなど 様々なテーマについて、ズバズバ切り込んで話していきます~ 2021年より最新の学術理論、経営学、経済学、社会学を紹介するYouTube「マイキーの非道徳な社会学」を開始 現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営