脳科学者の茂木健一郎氏が自身のYouTubeチャンネルで「声の小さな人に耳を傾ける」と題した動画を公開した。動画内で茂木氏は、コミュニケーションにおいて相手の言葉の根本にあるものを捉える重要性に触れつつ、現代でよく見られる「ディベート」への違和感と、声が小さい人の意見に耳を傾けることの意義について自身のスタンスを語っている。

茂木氏は冒頭、「人の話を聞くってのが大事だと思うんだよね」と切り出し、自分の言いたいことを主張するだけでなく、相手が本当に伝えたい核心を捉える姿勢が必要だと説明する。その対極にあるコミュニケーションの形として「ディベート」を挙げ、「ディベートってあんまり好きじゃないんですよ」と率直な見解を述べた。その理由について、「人の話を聞いてないじゃない」と指摘し、「深く考えてゆっくり反応するプロセスがなくて、その場でカンカンカンとやってる感じ」と表現。相手を論破して勝敗を競うような競技的な対話には、あまり興味を持てないことを明かした。

一方で茂木氏が普段から意識しているのは、「弱い人、あんまり強く主張しない人」が何を考えているのかに耳を傾けることだという。「そういうものに耳を傾けることが、自分の世界を広げてくれる」と力説し、声高に自己主張しない人が実は非常に大切な考えを持っていることが多いと語る。さらに、「声が大きい人の意見っていうのは、もう流通してるわけですよ」と述べ、そうした意見は共感を生んで仲間意識を作りやすいものの、本当に新しい視点や価値観をもたらすことは少ないと分析。世の中にあまり出回っていない「流通する機会が限られている声」にこそ、人生を豊かにする貴重な情報が含まれているとした。

最後に茂木氏は、「声が小さい人ほど耳を傾けて聞くと、その人にとってもいいんだけど、自分にとってもいいということがあるように思います」と結論づけた。目立つ意見ばかりが飛び交う社会の中で、あえて声なき声に意識を向けることが、より創造的で豊かな人生に結びつくというメッセージを残している。

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