宮内悠介の新しい短篇集。SF、ミステリ、純文学作品とさまざまな傾向の十三篇を収める。「パニック――一九六五年のSNS」は、改変歴史SF。過去の時代を舞台に、現実の歴史よりも遙かに進んだ科学技術の普及によって、社会や文化がグロテスクに変容した世界を描く。その点ではスチームパンクと同様だが、この作品で選ばれた過去世界が一九六五年の日本というのが独特だ。日本は高度経済成長を背景に、世界に先駆けて大型汎