秋の味覚の主役といえば「いくら」である。鮭がいくらのもととなる卵を産むために、かつて自分が生まれた川に戻り上流まで上る「鮭の遡上」はこの時期の風物詩になっている。ここで鮭の立場になってみよう。様々な生物の死をドラマチックに解説する『生き物の死にざま』(稲垣栄洋著、草思社刊)によると、鮭にとって生まれた川への帰還は「死出の旅」。彼らは繁殖活動と同時に、死ぬために川に戻ってくるのだ。■ダムがあって川を