Adeccoが考えるこれからの「デジタル人財」とは
人財サービスのグローバルリーダーであるAdecco Groupの日本法人で、総合人事・人財サービスを展開するアデコ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:平野 健二)は、Adeccoブランドで人財派遣、アウトソーシング、人財紹介、HRソリューションをはじめとする様々なワークフォースソリューションを提供しています。日本では「あなたらしさと、誇れる明日へ。」をビジョンに掲げ、働く人々のキャリア開発と企業の成長を支援しています。
AIをはじめとするテクノロジーの進化により、働き方や求められるスキルが大きく変化する中、同社はグループ会社であるAKKODiSコンサルティングから技術者派遣事業を移管し、「Adecco Tech(アデコ テック)」を立ち上げ。デジタル人財に特化した派遣事業を開始した。
「あらゆる企業がAIを活用する時代だからこそ、『人』が介在する価値はより高まっています」
そう話すのは、アデコ株式会社の常務執行役員として人財派遣事業を統括する井内洋一郎さん。AI時代にアデコが考える「デジタル人財」とはどのような人財なのか。Adecco Tech立ち上げの背景や、テクノロジーを活用するからこそ大切にしたい「人」の価値について話を聞きました。
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昨今、AIをはじめとするテクノロジーの進化により、事務系の派遣社員に求められるスキルにも変化が生まれています。従来の事務スキルに加え、デジタルツールを業務に活用できる「+α」のスキルを求める企業が増えていると井内さんは話します。
「これまでであれば一般事務としていただいていた求人でも、『生成AIを使った経験があればなお良い』といったご要望をいただくケースが非常に増えています。専門的技術を持つ高度なデジタル人財だけではなく、普段の仕事の中でAIを活用できる人が求められるようになってきています」
こうした変化は、市場の成長性にも表れています。労働者派遣事業においては、事務系領域も引き続き成長が見込まれる一方、その成長率は2030年まで年平均約2.5%の予測。これに対して技術系領域は約5%と、より高い成長が予測されています。
一方で井内さんは、事務派遣を取り巻く変化について「まだ大きな変化として捉えられていないからこそ、備える必要がある」と話します。
「例えばスマートフォンも、最初から多くの人が使っていたわけではありませんが、今では誰もが持つようになっていました。事務派遣も同様に、今はまだ求人があっても、AIがより広く、深く浸透することで、気づいたときには仕事のあり方が大きく変わっている可能性があります」
こうした変化を見据え、事業ポートフォリオそのものを変えていく必要があると考えました。その一つが、技術系人財の派遣領域の強化です。
■技術領域で新たな柱を-。Adecco Techを立ち上げた理由
このような変化を背景に、Adeccoでは2026年1月、グループ会社であるAKKODiSコンサルティングから技術者派遣事業を移管。同年3月には、技術者派遣専門の事業ブランドである「Adecco Tech」を立ち上げました。
技術系の人財派遣市場は今後も成長が見込まれており、事業領域を拡大することも狙いの一つです。しかし井内さんは、それ以上に大きな目的があると話します。
「私たちが目指しているのは、今、事務職として働いている方々が、将来仕事のあり方が変わったときに、次のキャリアへ進める道をつくることです。事務系と技術系の人財派遣サービスが同じAdeccoの中にあることで、リスキリングをしながらよりスムーズにキャリアチェンジすることも可能になります」
Adecco Techの立ち上げは、企業への提案の幅も広げています。これまで事務系人財を中心に派遣してきた企業に対しても、人財課題の解決に関して支援できる領域が広がりました。
「お客様からも、窓口が一つになり、事務領域から技術領域まで一貫して相談できることを評価いただくケースが増えています。まだスタートしたばかりですが、確かな手応えを感じています」
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AIを活用しながら、「人にしかできないこと」を大切にする。その根底には、人財派遣という仕事そのものに対する井内さんの強い想いがあります。
「私たちは、人財派遣というサービスを『雇用を生み出す仕事』だと考えており、そこには大きな社会的意義があると思っています」
その想いを強く実感した出来事の一つが、コロナ禍でした。ロックダウンなどもあり、働く場所を失う人が相次ぐ中、Adeccoでは約8万6千の新たな派遣雇用を生み出しました。
同時に、すでに働いていた派遣社員の雇用を守ることも大きな課題でした。当時は派遣社員が在宅勤務をする環境が十分に整っていませんでしたが、AdeccoではPCやWi-Fiルーターを用意するなど、企業と調整を重ねながらリモートでも働くことができる環境をつくっていきました。
「当時は正解があるわけではなく私たちも手探りでしたが、派遣社員の雇用を守り、新たな雇用を生み出すことが人財派遣会社としての役割だと考えていました」
テクノロジーが進化し、求められるスキルや仕事のあり方が変わっても、仕事の中心にいるのは「人」です。一人ひとりの可能性に向き合い、その人のキャリアや人生に関わっていく。そうした人財派遣の役割は、時代が変わっても変わらないと井内さんは考えています。
■ AIで生まれた時間を、人と向き合う時間にデジタル人財の育成や活躍を支える一方で、Adecco自体も積極的にAIを取り入れています。2024年12月には、派遣社員と企業をつなぐマッチングシステムを刷新し、全面的にAIを導入しました。
「AIを導入したことで、マッチングのスピードや精度の向上につながっています。ただ、私たちがAIを活用する目的は、単に業務を効率化することだけではありません。そこで生まれた時間を、人にしかできないことに使いたいと考えています」
その一つが、派遣社員一人ひとりとの対話です。Adeccoでは、派遣社員の専任担当者である「キャリアコーチ」が、日々の就業をサポートするだけでなく、対話を重ねながら信頼関係を築き、中長期的なキャリア形成にも伴走しています。
「『次にどんな仕事をしたいのか』『どんなスキルを身につけたいのか』『自分にどんな分野が向いているのか』。そうしたことは、本人もまだ気づいていないことがあります。だからこそ、私たちは対話を重ねながら、その人の強みや可能性を一緒に見つけていくことを大切にしています。
これは、リスキリングにおいても同じです。Adeccoでは研修の機会を用意するだけではなく、まず本人が『やってみたい」と思える状態をつくることを重視しています。
『こういう研修があるので受けてください』と言うだけでは、なかなか人は動きません。今の仕事が将来どう変わっていく可能性があるのか、その先にどんなキャリアの選択肢があるのかを一緒に考える。その上で、本人が新しいことに取り組む動機を持てるような環境をつくることが大事だと考えています」
AIに任せられることはAIに任せ、そこで生まれた時間を、一人ひとりと向き合う時間へ。テクノロジーを活用するからこそ、「人」にしかできない支援に、より力を注いでいます。
■ デジタルスキルを生かせる人へ。「デジタル人財」で広がるキャリアの可能性では、Adeccoが考える「デジタル人財」とは、どのような人なのでしょうか。井内さんは、「デジタル人財という言葉は、とても幅広い意味を持っていると思っています」と話します。
「一般的には、デジタルスキルを持っている人が『デジタル人財』だと捉えられがちです。でも、私はスキルを持っているだけでは十分ではないと思っています。そのスキルをどう活用し、業務改善や生産性向上などの価値につなげられるか。そこまでできて初めて、デジタル人財といえるのではないでしょうか」
さらに、デジタル人財に求められるのは、専門的なスキルだけではないといいます。
「働く場所には必ず人がいます。企業の中で活用していくためには、周囲の人とのコミュニケーションや対話も必要です。『デジタル人財』には、デジタルスキルだけでなく、そういったソフトスキルも非常に重要だと考えています」
テクノロジーが進化し、求められるスキルが変わり続ける中では、一度身につけたスキルだけでキャリアを築いていくことは難しくなっています。大切なのは、変化に合わせて学び続け、新たなスキルを身につけながら、それを実際の仕事の中で生かしていくことです。
Adecco Techという新たなブランドが立ち上がったことで、事務系人財がリスキリングを通じてデジタル領域へキャリアを広げていく道も生まれています。これまで培ってきた経験にデジタルスキルを掛け合わせ、キャリアコーチとの対話を重ねながら、一人ひとりが自らのキャリアを紡いでいく。Adeccoは、人財が可能性を広げるための取り組みをこれからも続けていきます。
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