フランスで起きたイスラム過激派による連続銃撃テロ事件は世界を震撼させている。

 11日の抗議デモにはフランス全土で370万人が参加。独メルケル首相、英キャメロン首相など欧州各国の首脳ばかりでなく、イスラエルのネタニヤフ首相やパレスチナのアッバス議長も駆けつけたという。

 しかし、デモ当日にドイツのハンブルクの新聞社が放火されたり、過激派の襲撃や脅迫は続いている。

日本は集団的自衛権の行使で
「反イスラム国」と見なされかねない

 この事件によって、あらためて、日本の集団的自衛権の行使について深く考えさせられる。

 本欄やメディアを通じて、私は、日本がイスラム過激派によって、「反イスラム国」と見なされることを憂慮し、集団的自衛権の行使に強く反対してきた。

 その大きな理由は2つある。

(1)まず、米国と軍事的に一体化すれば、日本はイスラム過激派から、ユダヤ・キリスト教連合の一翼を担っていると見なされる。それによって今回のフランスと同様に過激派テロの標的にされる恐れがあること。

 米国によるアフガン戦争やイラク戦争は、いずれもイスラム圏諸国を相手にしたもの。この2つの戦争がイスラム過激派の温床となったことは否めない。

 これに対して日本は協力をささやかな後方支援で留め、イスラム過激派の反発を最小限に抑えることもできた。

 だが、集団的自衛権を行使するとなれば局面は大きく変わる。もしもアフガン、イラクと同様の協力に限定すれば、米国や欧州からかなりの不満が出るだろう。そうなれば、歯止めは取り払われて、一歩、また一歩と踏み込んでいくに違いない。

(2)日本は、ユダヤ・キリスト教連合とイスラム諸国との歴史的抗争に際して、つねに「間(あいだ)に入る」可能性を残しておくべきである。

 本欄で何度も触れたが、日本は三大一神教(ユダヤ、キリスト、イスラム)の歴史的抗争に関与してこなかった唯一の有力国である。

 したがって、イスラエルやユダヤ教徒、キリスト教圏やクリスチャン、イスラム教国やムスリム(イスラム教徒)のいずれとも友好的であることができた。それらに対して同等な敬意を払い、特にイスラムには何ら悪い先入観を持つことなくやってきた。他宗教に対する日本人の寛大さは群を抜いている。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)