京都大学の青山朋樹准教授らによる研究グループが開発した転倒危険度評価システム「STEP +」と開発メンバー(京都大学の発表資料より)

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 京都大学の青山朋樹准教授らによる研究グループは、高齢者の転倒事故のリスクを評価して転倒予防の意識啓発を促す計測システムを開発した。

 高齢者の転倒には、2つの課題を同時に処理する二重課題処理能力の低下が関与していると考えられているが、これまでの二重課題処理能力の測定方法では詳細な定量評価ができなかった。

 今回の研究では、PCの画面上に出た矢印の向きに従って被験者が移動する実験を行った。その結果、この方法で評価される転倒リスク得点は、認知機能や運動機能といった従来の転倒リスクとも関連しており、様々な機能を複合的に判定する指標となりうることが分かった。また、この転倒リスク得点は、他の高齢対象者に対して実施しても転倒の識別に有用であるとが確認できた。

 製品としての本システムは、「転倒危険度評価システム『STEP +(ステッププラス)』」という製品名で株式会社日本シューターより販売される予定で、研究メンバーは、「今回、筑波大学、慶應義塾大学、村田機械と共同で開発した『STEP+』は二重課題処理能力を定量化するとともに能力強化することが期待され、今後の高齢者の転倒予防に期待しています。」とコメントしている。

 なお、『STEP+』は、2014年12月(出荷は2014年1月)より全国の医療・介護施設などへ販売 される予定となっている。