美里vs那覇西
6回、この日4打点目となる長打を放つ仲宗根（美里）
「昨日の練習で投げられないと知りました」（仲宗根）。エースナンバーを背負う比嘉慶次に肘痛があることを知った美里ナインに少なからず動揺が走ったが、「投手はしょうがない。奪われた分奪い返えそう」と、屋嘉比政彦監督はみんなに告げてこの日の試合に臨んだ。
1回表一死一・二塁から、いつもは1,3,5番を打つことが多いという仲宗根孝斗が「4番を務める以上、チャンスなら絶対打つ」と、気持ちの入れた打席で真ん中高めに来た甘い球を逃さず思い切り引っ張った打球はライトを襲う2点タイムリー二塁打となり美里が先制に成功した。
追い掛ける那覇西は3回、ニ死一・二塁から友利壮太の左中間へのタイムリーですかさず1点差に詰め寄った。2回以降、ヒットが出なかった美里は6回、先頭の中嶋青葉がレフトへ二塁打を放つ。一死後3番の糸数昌馬が四球を選ぶと那覇西ベンチは赤嶺由生郎を諦め永山大誠へスイッチ。だがここでも打席に入った仲宗根に初回と同じようなライトへの2点打が飛び出す「最初の2点打より嬉しかった」というタイムリーで那覇西を放ち突き放した。
那覇西は6回裏、牽制球で誘い出されてアウトになれば、7回にはキャッチャーの一塁への牽制悪送球で無死三塁を得たが次打者の投ゴロで飛び出してしまうもったいない場面が続いてしまった。だが8回、無死一・三塁からワイルドピッチと友利のレフト前タイムリーで2点を返す。なお無死三塁とイケイケムードではあったが「あそこは1点やっても構わないのでアウトカウントを増やそう」（屋嘉比監督）と次打者をショートゴロに斬り併殺を取りに行った美里野手陣に対し、那覇西は三塁走者がホームを奪わず動けないなど最後まで走塁ミスが響いた。
中嶋のセンターオーバーの三塁打と、ワイルドピッチで5点目を挙げた美里は9回、打者9人を送り5本のヒットを集めるなど猛攻で一挙5得点を重ねて試合を決めた。投げては2番手として登板し5イニングを粘り強く投げた浦崎祐与（うらさき・ゆうと）など、ただでさえ16名しか居ない選手層の薄さに加えて降って沸いたエース不在という逆境を、全員でカバーしあって跳ね除けた1年2ヶ月ぶりの嬉しい公式戦の勝利となった。
（文＝當山 雅通）
