前年覇者・坂出、「打ち勝つ」から「守り勝つ」へ

坂出先発・鍋島 巧（2年）

　昨年は全5試合で2桁安打、3割9分5厘の猛打ではじめて県大会を制し、四国大会でも王者に就いた今治西（愛媛）を苦しめ（試合レポート）、今年のセンバツ四国地区・21世紀枠補欠校にエントリーされた坂出。ただ、以後は春・夏共に県大会初戦敗退。この勝利が約11ヶ月ぶりの公式戦「1勝」となった。

　そのベースとなったのは教員生活残り1年半となり、このチームに勝負をかける搆口 秀敏監督が本来目指している「守り勝つ野球」である。

　「今年のウチは投手だけのチーム」と指揮官は評するが、13安打を打たれながらも失点は2、ランナーを背負ってからも腕を振って力のこもったストレートと、多彩な変化球を投げこんだ鍋島 巧（2年・左投左打・173センチ68キロ・宇多津町立宇多津中出身）はもちろんのこと、3併殺を記録した二塁手・多木 智哉（2年主将・右投左打・170センチ60キロ・綾川町立綾上中出身）と、遊撃手・福永 悠斗（2年・右投左打・165センチ57キロ・丸亀市立飯山中出身）との連携は見事。旧チームからのレギュラー陣がチームを牽引する形となった。

　一方、敗れた丸亀城西は「先制された焦りがあった」と河本 浩二監督も認めるように名将・橋野 純監督が退き、新たな形を模索する中での緒戦としては相手が悪かった印象。

　この試合で4打数4安打の1番・森 涼矢（2年・遊撃手・右投左打・170センチ65キロ・三豊市立仁尾中出身）など特に攻撃陣の素材はいいだけに、「グラウンドだけでなく、学校生活などいろいろなところで姿勢を見せる」河本イズムがディフェンス面で浸透すれば、春以降の浮上は間違いないだろう。

（文＝寺下 友徳）