郁文館vs都立三商
ベンチ入りメンバー僅か12人の都立三商だったが、序盤は、少数精鋭の都立三商のペースで動いた。
初回、1番服部一成（（2年）、2番瀬崎恭弘（2年）と塁に出て、チャンスを広げるが、後が続かない。3回表にも、先頭の9番松島圭佑（1年）がピッチャー強襲ヒットを放ち、無死一塁。1番服部も四球を選び、無死一、二塁とチャンスを広げる。しかし、ピンチでも踏ん張ったのが、郁文館の背番号18、1年生ピッチャー三ヶ野鳳将だ。続く、2番瀬崎には送りバントをしづらいボールをアウトコースにいっぱいに投げる。
その瞬間、二塁ランナーは、三塁でのフォースアウトを警戒して、第二リードが大きくなっていた。すかさずキャッチャーの石井隼人（3年）がセカンドへ送球する。ランナーは挟まれ、サードでタッチアウト。さらに、一塁ランナーも、二塁を目指すも、セカンドクロスプレーでアウトとなった。結局この回、郁文館1年生の三ヶ野は、三者凡退で終え、ここでの勝負を勝ち取った。
勢いを持った郁文館は、3回裏の攻撃では先頭の3番齊藤雅哉（3年）がセンター前ヒットを放ち、すかさず次打者の初球で盗塁を成功させる。無死二塁の場面から、4番宇田川直道（3年）はレフトフライに倒れるも、一死二塁とチャンスは続く。5番市毛聡一（3年）のライト前ヒットで、一死一、三塁とチャンスを広げると、6番山口拓海（3年）はファーボールを選び、一死満塁。
このビックチャンスに打席に入るのは7番中島逸輝（3年）。快音がスタジアムに響く。打球は鋭いライナーで、センターへ。誰もがセンター前ヒットだと思った当たりだった。しかし、センターがこの打球を猛ダッシュでキャッチ。すぐにセカンドへ送球。飛び出した二塁ランナーは、帰塁出来ずダブルプレーという形でこの回を凌いだ。
どちらも得点まであと一歩という所で、点が取れないまま中盤に入る。
試合が動いたのは、4回裏の郁文館の攻撃だ。一死から9番ピッチャーの三ヶ野があわやホームランかというレフトオーバーの二塁打で出塁すると、1番坂下大貴（3年）が送りバント成功。2番小黒佑真（3年）がファーボールで、二死一、三塁とチャンスを広げる。3番齊藤の打席では、ここまで集中して守ってきた都立三商が守備で乱れる。キャッチャーのパスボールで、ついに1点を郁文館に献上する形となる。
その間に一塁ランナーは三塁へ。続く3番バッターには死球を与え、二死一、三塁となり、迎えるは4番宇田川。まずは一塁ランナーが初球で盗塁を決め、二死二、三塁の形を作る。この場合、打者は4番のため、外野は前に出きれない。そのため、ヒットが出れば2点は確実に入る場面だ。
次の瞬間、その4番宇田川はきっちりと仕事をする。右中間を真っ二つに割るタイムリー3ベースヒット！2点を追加した。
試合の流れを決めたのは、この4回の攻撃だった。郁文館は、一挙3点を奪って優位に試合を運ぶことが出来た。
続く6回には、3番齊藤君のセンターオーバーのランニングホームランで1点追加し、7回には3点を追加。試合は、郁文館の7対0でのコールド勝ちゲームとなった。
少数精鋭で臨んだ都立三商だったがこの猛暑の中での試合では、交代人員がいるのといないのでは、一人一人プレッシャーが違う。その責任の重さが体力を奪った部分も多少なりともあっただろう。
郁文館は1年生を支えることの出来るチームワークの良さが見てとれた。次戦も期待したい。
（文＝編集部）
【僕らの熱い夏2014 第74回】郁文館高等学校（東京）少しでも長く、そして全て出し切れる夏にしたいです！
