モイーズ退任決定、現地メディアで報じられる後任候補10名

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 日本代表MF香川真司の所属するマンチェスター・Uは22日、デイヴィッド・モイーズ監督の退任を発表した。なお、後任は決まっていない。

 前日の21日にはイギリスの各大手メディアが一斉にモイーズ監督の解任が近づいていると報じていたが、イギリス紙『ミラー』は、大手ブックメーカー各社で人気となっている主な後任候補10名を紹介し、それぞれ寸評を加えている。

『ミラー』掲載の候補10名と寸評は以下のとおり。

■ルイス・ファン・ハール(オランダ代表監督)/4.5倍(スカイ・ベット)

 ファン・ハール監督は現在62歳。オランダ代表監督として、ブラジル・ワールドカップ優勝を目指している。オランダは常に優勝候補に挙げられる強豪。

 かねてよりプレミアリーグで監督を務めたいと語っており、トッテナムかマンチェスター・Uの監督就任という話が以前からあった。ファン・ハール監督の経歴は輝かしい成績で彩られている。4カ国で7回のリーグ優勝を果たし、さらには、チャンピオンズリーグ、UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)でも優勝。また先日、「ロビン・ファン・ペルシーはユナイテッドよりオランダ代表でプレーする方を楽しんでいるようだ」と語っていた。

 最後にクラブチームを率いたのは2011年だが、バイエルン・ミュンヘンで3位という成績しか残せずに解任されている。

■カルロス・ケイロス(ポルトガル代表監督)/6.5倍(パディ・パワー)

 マンチェスター・Uをよく知っている監督である。2002年から2003年と2004年から2008年にかけ、アレックス・ファーガソン前監督のアシスタントを務め、大きな成功を収めた。

 その手腕は革新的でありながら繊細。クリスティアーノ・ロナウドが未熟な若手選手から世界的なプレーヤーに成長する手助けをしたと言われている。しかしながら、ビッグクラブでの監督経験は一度だけである。2003−04シーズンにレアル・マドリードの監督に就任。しかし、リーグ戦最後の5試合で5連敗、5位でシーズンを終了した。その結果、2年契約だったが、10カ月で解任された。

■アレックス・ファーガソン(前マンチェスター・U監督)/7倍(コーラル)

 ファーガソンについては特に説明はいらないだろう。プレミアリーグ史上最高の成績を収めた監督である。

 モイーズ監督のこの1年とファーガソンがマンチェスター・Uを率いた26年間は、実に対照的だ。虚勢を張って自信満々で不屈の精神を見せていた態度が不安と不明確さに変わった。マンチェスター・Uのサポーターは全員、ファーガソンの帰還を歓迎するだろう。しかし、引退の決意を翻してオールドトラフォードに戻ってくるのだろうか。

■ユルゲン・クロップ(ドルトムント監督)/7倍(パディ・パワー)

『Mirror Sport』でマンチェスター・Uのサポーターに次期監督に関する投票を呼び掛けたところ、クロップ監督を推す声が群を抜いて多かったことがある。

 クロップ監督はエネルギッシュでカリスマ性がある。若手を育てながら、見事なサッカーを見せ、優勝を手にした。ドルトムントの指揮をとって5シーズンで、リーグ優勝2回、DFBポカール優勝1回、さらに昨シーズンはチャンピオンズリーグで決勝に進出した。

 来シーズン、ドルトムントのスター選手、ロベルト・レヴァンドフスキがライバルのバイエルンに移籍をする。今シーズンのマリオ・ゲッツェに続いてクラブの看板選手を失うことになる。そういった状況で、クロップ監督が、より大きなクラブを指揮したいと決意する可能性もある。

 低迷するクラブを栄光に満ちた時代のクラブへと再生するというプロジェクトに魅了されるかもしれない。しかし、バルセロナやレアル・マドリードといったビッグクラブが監督の座を提供することもあるだろう。

■ライアン・ギグス(マンチェスター・U)/13倍(ベット・ビクター)

 ファーガソン前監督が築いたマンチェスター・Uの栄光の日々と、ライアン・ギグスを切り離すことはできない。

 24年間のキャリアの中で13回のプレミアリーグ優勝を果たしたほか、FAカップ4回、リーグカップ3回、チャンピオンズリーグ2回とタイトルを総なめにしている。プレミアリーグ史上、最も多くの栄冠に輝いている選手だ。

 今シーズンは選手兼コーチとしてマンチェスター・Uに在籍しているが、指導者としての経験が浅く、ギグスの監督就任はギャンブルになることだろう。しかし、幅広い層のサポーターに人気があり、ベテラン監督と2頭体制でマンチェスター・Uを率いることはありうるかもしれない。

■ディエゴ・シメオネ(アトレティコ・マドリード監督)/13倍(コーラル)

 ヨーロッパのサッカー界では、誰もが認める最も優秀な若手監督である。現在43歳。シメオネ監督が率いるアトレティコ・マドリードはリーガ・エスパニョーラで首位を走り、チャンピオンズリーグでは準決勝に進出している。

 シメオネ監督は選手時代と同様の強気な姿勢を変えていない。そして、アトレティコ・マドリードを献身的で、技術的にも優れたクラブに作り上げた。デイヴィッド・ベッカムを1998年のフランス・ワールドカップで退場に追いやったことでも有名。43歳の今は、マンチェスター・Uの監督を引き受ける時ではないと考えるかもしれない。

■アントニオ・コンテ(ユヴェントス監督)/17倍(パディ・パワー)

 選手時代は優秀なミッドフィルダーだった。監督として古巣のユヴェントスを見事に復活させた。

 指導者のキャリアをセリエBで始め、バーリとシエナをセリエAに昇格させた。そして2011年、ユヴェントスの監督に就任。ユヴェントスは、セリエAで「老貴婦人」と称されるイタリアサッカー界の名門である。

 コンテ監督の下でユヴェントスはリーグ2連覇を果たし、今シーズンのスクデット獲得もほぼ確実である。現在44歳で、洞察力があり、革新的なサッカーを行う監督。しかし、チャンピオンズリーグで敗退していることが、マンチェスター・Uの幹部にとっては懸念材料かもしれない。

■ジョゼップ・グアルディオラ(バイエルン監督)/17倍(パディ・パワー)

 バルセロナを率いていた時代に、新しい戦術、ボールをポゼッションして素早くプレスをかけるというスタイルを考え出した。この戦術で、リーガ・エスパニョーラ3連覇を果たした。また、コパ・デル・レイを2度、チャンピオンズリーグも2度制覇している。

 バルセロナの監督を退いた後、1年間の休養期間を経て、今シーズンからバイエルンの指揮を執っている。記録的な速さでブンデスリーガ優勝を決定。チャンピオンズリーグでも準決勝に進出している。数々の記録と魅力的なサッカースタイルは、マンチェスター・Uにとって大きなインパクトとなるだろう。サー・アレックス・ファーガソンと親しい関係にあるため、後任だと言われていたこともあった。しかし、バイエルンを辞めるということはあるのだろうか。

■ファビオ・カペッロ(ロシア代表監督)/21倍(パディ・パワー)

 過去30年間で、カペッロ監督が高いレベルで成し遂げてきた記録を考えると、最も優秀な監督であることに議論の余地はないだろう。2カ国3つのクラブで7度の優勝を飾っている。また、イングランドの元代表監督であり、現在はロシアの代表監督だ。

 67歳ということを考えると、長期の契約にはならないだろう。また、イングランドの代表監督としては、成功したとは言えない。さらに、つい先頃ロシアの代表監督の契約を延長。2018年にロシアで開催されるワールドカップまで代表チームを率いることになった。ということからも、マンチェスター・U監督就任はありえないだろう。

■フランク・デ・ブール(アヤックス監督)/26倍(ベット・ビクトリー)

 F・デ・ブール監督は選手として華々しい経歴をもち、アヤックスの監督としても順調な成績を挙げている。オランダのビッグクラブ、アヤックスはエールディビジの4連覇達成が間近である。しかし、先週末に行われたオランダカップ決勝ではズウォレに1−5で敗れるという波乱があった。

 比較的予算が少ないクラブ(ヨーロッパの中ではということだが)で、成功を収めてきたF・デ・ブールだが、そのサッカーはアカデミー出身選手を中心とした魅力的なものである。トッテナムの監督就任の噂がある。ダニエル・レヴィ会長がF・デ・ブールを称賛している。

 なお、『ミラー』の電子版HPにて、「上記10名の中から、誰を望むか」というアンケートを実施しており、クロップ監督が過半数の得票を獲得している。