広州外語外貿大学の学生有志らが日本の無人販売所にヒントを得て、新聞紙の無人販売所をテスト的に運用してみたところ、損失はほとんど発生せず、無人販売が成立したという。南方日報が11日伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

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 日本では野菜の無人販売所などをよく見かけるが、中国で見かけることはほとんどない。しかし、広州外語外貿大学の学生有志らが日本の無人販売所にヒントを得て、新聞紙の無人販売所をテスト的に運用してみたところ、損失はほとんど発生せず、無人販売が成り立ったという。南方日報が11日伝えた。

 無人販売は売る側と買う側の双方の信頼があってこそ成り立つシステムであり、中国で無人販売が成り立ったことは新聞に取り上げられるような「驚きの出来事」であるようだ。無人販売所が設置されたのは広東省にある広州外語外貿大学の敷地内だ。

 学生ら有志が始めた新聞紙の無人販売は「誠実駅」と名付けられ、2012年11月から販売を開始した。新聞代の支払いについては日本で見られる無人販売所と同様で、新聞を求める人は代金を箱に入れることが原則だ。

 学生らは新聞を毎日午前10時に指定の場所に設置、午後6時には売れ残りを回収し、1日の計算上の売上を把握した。「誠実駅」の設置から1年後に実際の売り上げを計算してみたところ、計算上の売上と料金箱のなかに存在した金額との差額は微々たるものだったという。これは料金を支払わずに新聞を持ち去られるケースは極めて少なかったことを意味することだ。

 中国の簡易投稿サイト・微博で同報道が伝えられると、多くのネットユーザーからは、「大学の敷地内だったから成立したのではないか」、「どこでも通用する方法ではない」など、大学という場所ゆえに無人販売が成立したのではないかという意見が寄せられた。つまり、不特定多数の人が行き交う場所では盗まれるなどして無人販売は成立しないと考えている中国人は多いようだ。

 また、「新聞なんて価値がないものを誰が盗むんだよ。飲み物の無人販売にして試してみるべき」、「新聞なんて買う人はほとんどいないだろう。大学生のうち何人が新聞を読むんだ?」など、無人販売の商品が新聞だったため成立したという意見もあった。

 確かに南方日報によれば、新聞販売を行っている学生は「経営状況は苦しい」と語っており、「学生たちがそもそも新聞に興味を持っていないため、新聞が盗まれなかった」という可能性を排除することは難しい。中国でも日本のように無人販売が成立すると証明するためには、中国人消費者にとってニーズがある商品で試す必要がありそうだ。

 ただ、微博のコメントを見る限りでは、多くの中国人ネットユーザーが「無人販売というビジネスは中国では無理」と考えていることが見て取れた。(編集担当:畠山栄)(イメージ写真提供:123RF)