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若者を中心に人気の「ルームシェア」。よくあるのは、3LDKのマンションを3人の友達同士でシェアするといったパターンだが、仲の良い友人だけでなく、それまでまったく知らなかった人と共同生活を送るケースも珍しくない。

インターネットには、ルームメイトを募集できるサイトもいくつか存在している。空いている部屋があれば、部屋の間取りやシェアする期間、家賃の分担など、さまざまな条件を示して、同居人を募集することができる。

そんなルームシェアだが、みんなで住むのはマンションなどの賃貸住宅で、別に大家がいることも多いだろう。そのような場合、大家に断りなく、ルームシェアを勝手に始めて良いのだろうか。ルームメイトを募集するときに気をつけるべきポイントについて、魚谷隆英弁護士に聞いた。

●「賃貸借契約書」にどう書いてあるかが重要

「ルームシェアをするうえで、一番気をつけていただき点は、大家さんと取り交わした『賃貸借契約書』において、そのような行為が禁止されていないかという点です」

賃貸借契約書というと、住み始める前に不動産屋でサインする書類のことだろうか。

「そうです。日本の民法では、借主は、大家の承諾を得なければ、借りた物を『又貸し』できないことになっています。もし違反した場合、背信的な行為ではないといえる特別な事情がないかぎり、大家は、契約を解除することができます(民法612条)」

たしかに、大家の身になれば、自分の所有する家や部屋にまったく知らない人が住んでいるというのは、気持ちの良いものではないだろう。

●大家の「承諾」が必要な場合が多い

「このため、通常の賃貸借契約書には、『契約時に承諾をもらった同居人以外の同居人を置いてはならない』とか、『同居人が増える場合には、大家に通知したり、大家の承諾をもらわなくてはならない』といった規定が設けられていることが多いのです。ですから、大家に無断でルームシェアしてしまうと、契約を解除される恐れがあります」

では、大家の許可をもらって、ルームシェアを始めることになった場合、どんな点に注意すべきなのか。個室のドアに鍵をつけたり、間仕切りをしたりと、多少の改装の必要があるだろうが、これは許されるだろうか。

「賃貸借契約書上、部屋の中の改造や模様替えが禁止されていることが多いですから、難しいでしょう。ルームシェアをする際には、大家さんとの賃貸借契約上、どのようなことができて、どのようなことができないとされているのか、気をつける必要があります」

ルームシェアを考えたら、まずは、賃貸借契約書を熟読するのが大切、ということのようだ。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
魚谷 隆英(うおや・たかひで)弁護士
2001年弁護士登録。2011年に独立し、うおや総合法律事務所開設。企業関係の裁判、保険法務、倒産事件等を主に扱う。日本マンション学会会員で、暮らしに密接した分野の相談にも積極的に取り組んでいる。
事務所名:うおや総合法律事務所
事務所URL:http://uoya-law.com