かなりの色白美人! 「雪化粧かぼちゃ」

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全国各地から初雪の便りが届き、山々が美しく雪化粧しはじめた今日この頃だが、なんと野菜界にも雪化粧でおめかしする美人がいた!

その名も「雪化粧かぼちゃ」。まるで雪をまとったように真っ白な姿がネーミングの由来だが、見た目のみならず、味の美しさも格別。他のかぼちゃとはひと味もふた味もちがうホクホク感としっとり濃厚な甘味は、初めて食べると感動するほどらしい。

調べてみると、秘密はどうやら白い皮にあるようだ。実は皮を覆う白い粉の正体はデンプン。収穫直後は粉質でむせるほどのホクホク感があるが、甘味は弱い。それがしばらく定温熟成させると、デンプンが麦芽糖へと変わり、しっとり甘みも出てくるのだ。

すぐにでも食べてみたい! と思ったが、残念ながら雪化粧かぼちゃは主に北海道で作られており、首都圏のスーパーなどで見かけることはほとんどない。ただ、通販などで取り寄せられるほか、最近人気の宅配野菜サービスの中にもこうした珍しい野菜を扱うところがある。

2004年から伝統野菜や珍しい野菜のセット「いと愛づらし名菜百選」を販売している宅配野菜サービス「らでぃっしゅぼーや」でも、この時期は数量限定で雪化粧かぼちゃ入りのおためしセットを提供している。

「雪化粧かぼちゃは粉質で果肉は淡い黄色、茹でると鮮やかな黄色になります。ホクホクと甘く、一度食べるとやめられないと評判で、ここ数年かなりの人気です」
と同社の広報担当者。流氷が来る頃まで保存できる(味が落ちない)ことから、別名「流氷かぼちゃ」とも呼ばれているそう。

らでぃっしゅぼーやの野菜はすべて生産者の顔が見えるのが特徴だが、雪化粧かぼちゃは北海道士別市で岡田直弘さんが作ったものだけ。しかも一株に1玉しか実をつけさせない「一果採り」という贅沢な栽培方法をとっているため、通常よりさらに甘味がたっぷり。一株に2〜4玉の実をつける普通のかぼちゃと比べて、十分なデンプンをかぼちゃに蓄積させられるからだ。

こだわりはそれだけではない。秋の収穫期には、かぼちゃの熟度や葉の枯れ具合を毎日観察し、未熟でも過熟でもない、まさにベストタイミングで収穫をおこなう。さらに収穫後は45〜55日間という比較的長い期間、定温で保管してから出荷。保管中は傷の多いものや熟度が早く進むものがどんどん腐ってしまうので、本来であれば早く出荷した方が歩留まりの低下が防げる。だが、ホクホク感と濃厚な甘味の黄金バランスを実現するには必要な工程であると岡田さんは考えているそうだ。

「まずは、カボチャの味・食感を感じて欲しいです。シンプルに蒸したり、電子レンジなどで加熱して食べてみてください」
と岡田さん。圧倒的な作業量と技術が生み出す美味しさに加え、らでぃっしゅぼーやの農産品はすべて独自の食品取扱基準「RADIX」に基づいて厳しくチェックされているので安全性も高い。

今が旬の「雪化粧かぼちゃ」は、この時期しか手に入らない貴重なもの。いやー、それにしても見れば見るほど色白美人! これはちょっと、味見してみたいですね。
(古屋江美子)