カーテンコールでの一幕

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秋も深まり、劇場やコンサートホールに足を運びたくなる季節になってきた。日本にも素晴らしい劇場はたくさんあるが、海外の劇場はどのような雰囲気なのだろうか。じつは日本とフランスの劇場を比べると、様子は少しずつ異なる。そこで日仏の違いを比較してみた。

■劇場の格安チケットが存在
日本と比べフランスは安い価格帯のチケットがある。例えばパリ管弦楽団が定期的に演奏しているパリ市内の代表的なコンサートホール、サル・プレイエルの価格帯は180〜10ユーロ(約2万4000円〜1300円:価格の幅はコンサートによる)。下のカテゴリーなら学生でも気軽に聞きにいける値段だ。また日本では海外アーティストの公演はおしなべてチケットが高くなるが、フランスの場合、海外アーティストも国内アーティストと値段もほとんど変わらない。

開演直前になると、売れ残った席や招待席の一部が値下げ販売されるのも特徴の一つだ。1公演でどれだけ枚数が出るかはその公演の人気具合によるが、サル・プレイエルの場合、180ユーロの席でも当日は余りがあれば最安値の10ユーロで売られる。開演前に当日券窓口に長時間並ぶ必要はあるものの、一流の公演を格安で良い席で観られる。

■服装がカジュアル
パリでオペラやクラシックコンサートに行くというと盛装して出かけるイメージだが、実際はかなりカジュアルだ(もちろんオシャレして来る人もいる)。日本のクラシックコンサートなど、観客の年齢や層が限られている一方で、フランスでは求めやすい価格設定ということもあり、気軽に足を運ぶ人が多い(ただし古い劇場では、安い価格帯のチケットだと視野に問題があることもあり)。価格設定に加えて、野球観戦をしにいくような気軽さで、クラシックコンサートを楽しめる。

■チケット価格より高い席へ勝手に移れる
フランスの私立劇場では案内係にチップを渡す習慣がある(ただし国立の劇場は案内係も公務員のためチップは渡さなくてもいい)。開演直前に自分のチケットより良い場所に空席があり、そこへ係が案内してくれた時にも感謝の気持ちでチップを渡すこともある。観客も移りたい場所に空席がある場合、自分でその席へ移動している。空いていれば自分のチケット価格より高いカテゴリーの席に座っても、特に注意されなければ問題ない。

■舞台の写真撮影OK
フランスの劇場では、基本的にカーテンコールで舞台を撮影できる(上演中はもちろん禁止)。拍手の中、出演者がずらりと並んだ瞬間を押さえるため、カメラを舞台に向ける人も多い。歌舞伎など基本的にカーテンコールは行わない舞台も、海外公演ではカーテンコールで出演者が勢ぞろいする。海外ではそんなレアな光景も写真に収められる。
(加藤亨延)