ヘルメットだ!(でも、椅子)

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東日本大震災以来、我々の生活様式も自ずと形が変わってきました。だって、それまでは震災バッグなんて用意さえしてなかったもの! まさに、「備えあれば憂いなし」。

そうです、「備えあれば憂いなし」です。……というわけで、ちょっと変わり種のチェアをご紹介しましょう。「有限会社ポップライフ」と「有限会社znug design(ツナグデザイン)」の共同プロジェクト・チームによって開発された『マモリス』は、言わば“いつもちかくで、まもるイス”。
というわけで、画像をご覧いただきましょうか。……ヘルメットみたいですか? しかし、イスでもある。日常では、チェアとして問題なく普段使いすることができるんです。でも、ヘルメットでもある。

その辺、動画にてわかりやすく説明してくれてるみたいです。では、ご覧ください! 



……はい、こんな感じです。非常時が訪れたら、座面に付いたツマミを90°回転させる。すると座面下の留め具が外れ、背もたれが前方向に倒れていく。背もたれの付け根を持って斜め上に引き上げると、イス本体から外れてヘルメットとして使用できる。という按配です。
「震災以降、ヘルメットを保管する場所を多くの企業が検討しているという話を耳にしました。そのための部屋を設けたり、デスクの下に置いていたり……。そこで、『デザインで解決することができないか?』と思い立ったのがきっかけでした」(「有限会社ポップライフ」川井さん)

結果、日常的に存在している「イス」に注目してみた。しかも、「背もたれを有効に使おう!」という発想にまで行き着いている。
どうも、これには理由があるみたいです。
「避難の際は身を縮めて前かがみになりがちなため、ヘルメットをかぶっていても首や背中は無防備になってしまいます。そこで『マモリス』では、広い範囲をカバーできるようデザインしました」(川井さん)
イスに注目することで、より安全性に富んだヘルメットが形になったわけだ。またヘルメットは無骨なものになりがちなので、デザイン性にも優れたフォルムに仕上げている。

そんな『マモリス』は10月26日〜11月4日に開催された「TOKYO DESIGNERS WEEK 2013」に出展され、多くの反響を読んだ模様。
「『なかなかこういうアイデアはなかったよね』といったお声を頂戴しました」(川井さん)
実はこのチェア(ヘルメット)はまだ商品化されておらず、試作品が一点ものとしてあるのみの状況。デザイン性や実用性をブラッシュアップし、来年における商品化を目標としている。
「今はまだ、ヘルメットとしても重いんですね。量産化すれば加工等の問題も解決し、軽量化を図れるはずです」(川井さん)

ところでこの『マモリス』、どういった場への普及を想定している? 
「皆さんに広く使っていただきたいのですが、『小学校、中学校にいいよね』というお声をいただいています。防災ずきんで対応している学校も多いですからね」(川井さん)
他にもオフィス、図書館、病院、役場の待合室等、公共の場での活用が期待されているようだ。

……というかパッと見で、すごくオシャレですよね。予備知識がなくても、イケてる。しかし、万が一の際は異なる効果を発揮する。
ウチにも一脚、用意しておこうかしら……。
(寺西ジャジューカ)