チェキ人気はとどまることを知らず。クラシックなデザインのチェキinstax mini 90ネオクラシック。多彩な機能で男女問わず人気。(参考価格:19,800円)

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デジタルカメラの登場で、フィルム写真を撮ることが少なくなった。思い出の写真はスマホやパソコンの中という人も多いのではないだろうか。だが、そんな時代だからこそ、あえてその場で思い出をカタチにできる富士フイルム株式会社のインスタントカメラ「チェキ」が人気だ。2002年に約100万台を販売し、その後一時は販売台数が10分の1に落ち込んだものの、2012年度は160万台に。今年度は200万台を目標に掲げている。1998年に初代チェキ発売以来、日本だけでなく海外でもヒットを飛ばし、ワールドワイドで累計9百万台以上の販売を誇る「チェキ」。

デジタル時代の今、なぜチェキが人気なのか? 同社イメージング事業部の外山さんは「生まれた時からインターネットやパソコンのある環境で育ち、デジカメもスマホも持っている世代の方は、撮ったその場でプリントでき、メッセージを書き込み友人と交換できる点でデジタルとは異なる『現物感』の価値を見出している。新しいコミュニケーションツールとして新鮮に受け入れているのでは」と分析する。フィルムやインスタントカメラを知らない10代〜30代にとっては、撮るとすぐにプリントされる斬新でオシャレなカメラなのだ。

私も結婚式や二次会などでチェキを何度か利用したことがあるが、今年9月に発売され、店舗によっては品切れが起きるほどの人気商品「instax(インスタックス)mini 90ネオクラシック」の機能には驚いた。普通に撮影するだけで綺麗に写真が撮れるが、近くの被写体を撮るときに最適なマクロモードや、ペットや子どもを撮るときにブレを軽減するキッズモードも搭載。シャッターを長時間開くことができる「バルブモード」を使えば夜景も綺麗に撮れる。

それに、1枚のフィルムに2度シャッターを切り、像を重ねる「二重露光モード」では、まるで編集を施したかのような、アーティスティックな写真を撮ることができるのだ。その場で写真ができるんだから性能まで求めたらダメという考えはもはや古かった。すみません……。

「mini 90は、チェキのフラッグシップ機として、チェキの正式ブランド名称である『instax』をカメラ正面に刻む形で打ち出しています。開発にあたり、アナログカメラが衰退していく中で、シャッターの機構や電池(mini 90からは、リチウム充電池を採用)から電気を取り込む経路の設計、周りの明暗を感知するセンサーの位置などに苦労しました」(同事業部山本さん)。カメラ本体は高級感のある本格的なデザインで、男性やレンズ交換式カメラを愛するユーザーも楽しめるように撮影モードを充実させ、大人が満足できるチェキへと進化した。

海外では韓国や中国、台湾、香港に加え、東南アジアでもチェキ人気は高まり、販売は好調だ。韓国では2007年にTVドラマのワンシーンでチェキが使われたことで人気に火が付き、アジア地域に広がった。また、中国では人気モデルがチェキを日記として活用していることがTVで紹介されブームになったという。

フィルム写真は退色しにくく、思い出を長くキレイに残すことができる。「銀塩フィルムだからこそ写るとされる、その場の空気感や立体感、温度や湿度といった手触り感。心や気持ちの『表現としての写真』は銀塩写真の持つ、もう一つのかけがえのない価値です」

外山さんに、お勧めの利用方法を聞いた。「贈り物に添えるギフトカードの代わりにメッセージを書いたり、チェキで撮った靴の写真を靴箱に貼る整理術などさまざまです」。日常使いにも特別な日にも。世界に一枚だけの写真、あなたは何を撮りますか?

(山下敦子)