話題の『オイスタートースト』。本当にオイスタートーストだった。

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実は、外で仕事することが多いんです。原稿を書く場合、自宅だと誘惑(テレビ、雑誌等)が多く、集中できないもんで。
さて、どこで仕事しましょうかね。いや、スタンダードなのはファミレスとかカフェ辺りでしょうけども。……ここで、私は「喫茶店」をオススメしたい。カフェじゃないですよ?喫茶店です。わかるかなぁ、あのまったりした雰囲気。ちっとも、ギスギスしていない。時間がゆっくり流れている気がする。この点に関して、喫茶店はカフェに圧勝しています。

そんな魅力を熟知する“喫茶店マニア”なる人種が世にはおりまして、彼ら彼女らの間で話題になっているメニューがあるんです。その名は『オイスタートースト』。
もう、画像を見てください。その方が、手っ取り早いから。……どうですか? あまりにもド直球なルックス!まさに、「オイスター(牡蠣)トースト」です。

ちなみに、このメニューはどこで食べられるのか?もちろん、喫茶店ですよ。昭和27年から営業を続ける老舗「珈琲店トップ」で約40年間、看板メニューとして提供され続けているそうなんです。
この喫茶店は渋谷に3店舗、そして新宿に1店舗出店されているらしく、今回、私は1号店である「渋谷駅前店」にお邪魔してきました。この『オイスタートースト』、実際に体験してきたのです!

さて、渋谷の雑踏をヒョイッと横道に逸れたビルの地下一階に辿り着くと、愛しの喫茶店は目の前に。ドアを開けると、ダンディで気のいい「渋谷駅前店」店長・宮原脩次さんが出迎えてくれました。今回は、この方にお話を伺おうと思います。

――『オイスタートースト』は約40年前からのメニューだそうですが、どういうきっかけでメニューに加わったんですか?
宮原店長 当時は、ウチの本社(「澁谷食品株式会社」)が缶詰とかウイスキーとかチョコレートとか扱っててね。その中に牡蠣の缶詰もあって、先代の社長が「牡蠣でサンドイッチを作ってみよう!」って、そういう発想だったんです。当時は、牡蠣もなかなか手に入らなかったからねえ。
――へぇ〜! でもそれって、すごいチャレンジですよね。
宮原店長 そうですよね。ウチの完全なオリジナルですから。
――他で見たことないですもん!
宮原店長 ないでしょ? ウチのトーストには、変わってたり凝ってるものが多いから。
――マニアの間でも「大胆なメニューが多い」って話題になってるんです。
宮原店長 他に『コッドロートースト』(470円)っていうのがあるし。
――(メニューを見せてもらう)……ん、タラコ!? これも、トーストにそのまま挟まってるじゃないですか(笑)。
宮原店長 あと『サーディントースト』(560円)はイワシで、これも変わってると思う。
――やっぱり、そのまま乗ってますね(笑)。

いやはや、とにかくインパクトの連続。その一方で、周囲のお客さんはまったりしているわけで……。なんか私だけ昂ぶっててもしょうがないので、そろそろ『オイスタートースト』を食してみたいと思います。
そして、特別サービス! 今回は、作る過程を直に見学させていただきました。ざっくりとした作業手順は、以下です。
(1)パンをオーブンで焼く
(2)キツネ色に焼けたトーストにバターを塗り、耳をカット
(3)トーストに万能ねぎを乗せ、牡蠣を乗せ、マヨネーズをかける
(4)お皿に盛り付ける

ではレモンをかけて……、いただいちゃいますよ? ……美味しい!! もっと潮臭くなると思ってたけど、トーストとの相性は抜群。
噛むと、牡蠣から旨みを含んだ汁がジュワッと出て来るんですよ。その水分はパンにしっかり染み込み、決して逃すことがないわけで。それでいて、古き良き喫茶店の空気感は満点。あぁ、この発想はなかったなぁ〜。

宮原店長 お世辞が混じっているかは分からないけど、みんな「美味しい」って言ってくれますね。ずっと落ち込むこともなく、コンスタントに出ているし。
――やっぱりこのメニューを目当てに訪れる“喫茶店マニア”は多いんですか?
宮原店長 多い! でもこのメニューを頼むのは、60代くらい年配の方が多いんですよ。普通の若いお客さんは、ビックリしちゃうよねぇ(笑)。

そんな話題の『オイスタートースト』の価格は、650円。広島産カキの燻製が使われており、一年中味わえるメニューとなっています。
「品切れになったこともないですね。その辺は、本社が上手く仕入れをやってくれてるから(笑)」(宮原店長)

最後にこの喫茶店、トーストのみならずコーヒーのクオリティも半端じゃないのです。焙煎したてで鮮度の高い豆を同社珈琲工房から毎日取り寄せているそうで、いわゆる本格派でした。
「『本当のコーヒーはこういうものだよ』っていうことを、教えたいよね」(宮原店長)
同店の売りは、「トースト」と「コーヒー」と、店長さんかな……。
(寺西ジャジューカ)