マクドナルドすき家吉野家など、安さをアピールしてきたファストフード各社が“脱デフレ”の流れに乗れず苦戦している。

 日本マクドナルドホールディングスが先に発表した6月中間決算は、営業利益が従来予想より3割も少ない70億円にとどまり、2年続けて中間営業減益となった。原田泳幸社長は決算会見の席で「5月のメニュー改定で値下げした商品があるにもかかわらず、ハンバーガーを120円に値上げしたことを捉えて、マスコミが『100円マックが消えた』と報道したからではないか」と不満をあらわにした。客数が減少し業績ダウンを招いたのは、メディアのせいとの論法である。
 「これまでは低価格を武器に客数を伸ばし、好決算を謳歌してきたのですが、脱デフレに舵を切ったアベノミクスではそうも行かない。それを棚に上げてメディアを目の敵にするのは、お門違いです」(経済記者)

 一方、壮絶な値下げ競争から“不毛な消耗戦”と揶揄された牛丼業界も、今や戸惑いを隠せない。吉野家はライバルに足並みを揃え、並盛りを280円に値下げして売り上げを急回復させたものの、夏になった途端に息切れ。「お手並み拝見」を決め込んでいたすき家、松屋も前年割れが止まらない。

 要するに、景気回復の追い風を感じている消費者には、もう価格が安いだけではアピールできないのだ。
 「これをいち早く察知したのが、ファミレスのロイヤルホスト。ステーキ販売で営業増益に転じたように、外食産業は従来よりも価格が高い商品にシフトしている。マックも牛丼各社も高額商品を投入して話題を振りまいてはいるものの、消費者の“安い”の印象はなかなか拭えません。それどころか、デフレ戦略に明け暮れた報いというべきか、この期に及んで再値上げには踏み切れない。お陰で各社はすっかり頭を抱えていますよ」(同)

 ナルホド「自業自得」とは言い得て妙である。