都会の真ん中にいながら緑に癒される新しいスタイルのホテルが誕生!

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次々に新しいレジャースポットやホテルがオープンしているシンガポール。ここ数年、日本人訪問者も増えている。理由のひとつには、日本のCMにも使われたホテル「マリーナ・ベイ・サンズ」への興味もあるようだが、もちろんユニークなホテルはそれだけじゃない。

今、現地で話題になっている最新ホテルといえば、今年の1月中旬にオープンしたばかりの「パークロイヤル オン ピッカリング(PARKROYAL on Pickering)」。すでにアメリカの経済誌『フォーブス』で“未来ホテル”なんて紹介されたり、シンガポール在住日本人向けフリーペーパーの表紙を飾ったりと、あちこちで話題になっている。

そういえば、取材時、ホテルへ向かうのにタクシーを利用したのだが、行き先を告げた途端、
「いやー、このホテルにお客さん乗せていくの初めてなんですよ!!」
と明らかに運転手さんのテンションが上がっていた。

同ホテルのコンセプトは「ホテル・イン・ザ・ガーデン(庭園の中にあるホテル)」。デザインを手がけたのは、シンガポールを拠点に世界的に活躍する建築家ユニット「WOHA」。ビルからニョキョニョキと木々が生えているユニークな外観は遠くからでも目立つが、中に入るとさらにそのコンセプトを強く実感できる。

それもそのはず、同ホテルの緑の面積は1万5,000平方メートル。なんとこれ、人が歩く部分の面積の2倍にも相当するのだ。4階建てのスカイガーデン(空中庭園)、壁面の一部に植栽を施したバーチカル・ガーデン(垂直庭園)、プランターを配したバルコニーなど、とにかく緑だらけ。

もともとガーデンシティとも呼ばれるシンガポールは街なかに緑が多く、一部を緑化しているビルは珍しくないが、ここはちょっとレベルがちがう。ホテルの目の前には広々としたホン・リム・パークがあり、借景効果も抜群。上から眺めると大げさではなく植物園にでもいるのかと錯覚してしまう。

単に緑が多いだけでなく、環境への配慮も徹底している。草木を育てるための水は可能な限り、雨水を再利用。さらに太陽光発電やLEDや自動照明、モーションセンサーなどを導入し、節電にも積極的。こうした取り組みにより、年間、五輪サイズのプール32.5個分の節水や温水をつくるためのエネルギーの70%カットに成功。同ホテルの1年間のエネルギー節約量は一般家庭680世帯分にあたるという。すでに、太陽光発電パイオニア賞やシンガポール政府建設局による「グリーンマーク」のプラチナアワードを受賞するなど、環境にまつわる取り組みへの評価は高い。

デザイン上の工夫も多い。レストランや宴会場のあるフロアは壁一面をガラス窓にすることで採光性を向上。また、客室横の廊下は一部が外に面した開放廊下になっており、省エネにひと役買っている。客室は落ち着いた雰囲気のウッド調で、自然に寄り添ったデザイン。ビジネス中心街の入口に位置しているため、窓の外に広がるオフィスビルと緑のギャップもユニークだ。

クラーク・キーやチャイナタウンなどの観光地にも近く、ビジネスでもレジャーでも利用しやすい好立地ゆえ、すでに予約が取りにくい日もあるが、スパやレストランなどの利用で訪れるのも一案だ。ちなみにスパはシンガポール生まれ、日本でも人気の「セント グレゴリー(St. Gregory)」。私も45分のスクラブマッサージ「ライム&ジンジャーソルトグロウ」を体験してみたが、街の喧噪を忘れる上質な空間での施術はリラックスの極み。肌もツルツルによみがえった。

進化し続けるシンガポールのホテルシーン。旅の計画がますます楽しくなりそうだ。
(古屋江美子)

関連リンク/取材協力
■ PARKROYAL on Pickering - PARKROYAL Hotels & Resorts
■ パン・パシフィック ホテルズ・アンド・リゾート
■ スクート