●導入している国でも廃止の動きが拡大中
日本では1990年代からサマータイムの再導入を求める意見が政財界から出るようになり、その中には「サマータイムを導入していないのはG8で日本だけ」だとか「OECD加盟32か国では日本と韓国・アイスランドだけ」と言った意見がよく出されていました。ところが2011年にはG8加盟国のロシア、その隣国のベラルーシ、そしてエジプトがサマータイム廃止に踏み切ったことが大きく報じられ、東日本大震災を契機に電力不足への対応策としてサマータイム再導入を目指す動きは出鼻をくじかれた形となりました。

ロシアの場合、広大な国土に11の標準時を持っていましたが2010年に2つの標準時を統廃合して9標準時に整理しました。そして昨年の春からは1981年に導入されて以降、国民の間で不評だったサマータイムを正式に廃止したのです。ロシアでサマータイムが不評だった理由は毎年2回の時刻切り替えに前後して心筋梗塞が多発したり、鉱山労働での事故が急増するなど体調を崩す原因になっているというものでした。実際、ロシアと同緯度のカナダでも同じように体調を崩したり事故が増加するなどのデータが報告されており、ブリティッシュコロンビア州政府は切り替え直後の月曜日に交通事故が前の週よりも23%増加するというデータを提示して住民に注意を呼びかけています。

アジアやアフリカ、ロシアを始めとするCIS諸国と違って既にサマータイムが定着しているかのように見えるヨーロッパ各国でも国民の不満は高まっています。ドイツやオランダでは国民の過半数がサマータイム廃止に賛成というアンケート結果が出ており、フランスでも毎年のようにサマータイム廃止デモが開催されるなど年々、サマータイムに対する不満が表面化しているのです。しかし、どの国でも中央ヨーロッパ時間(CET、UTC+1)からの離脱によって周辺国から孤立化するデメリットが指摘されており、なかなか廃止に向けたハードルは高いようです。

またアメリカやカナダ、オーストラリアなどの導入国でも酪農業が強い地域では「牛の乳しぼりなど定時に行わなければならない作業に支障をきたす」としてサマータイム導入に強い反対があり、アメリカのアリゾナ州とハワイ州、カナダのサスカチュワン州、オーストラリアの北部と西部ではサマータイムは実施されていません。

●「省エネ」「余暇拡大」など一貫しない再導入の理由
前述の『北海道サマータイム月間』を始めとする「サマータイム」を冠した時差出勤の奨励活動も、将来の再導入(法制化)に向けた地ならしを目的としているとの指摘もあります。しかし、時差出勤は一般的な出勤時刻のピークを避けて早めに出勤する制度なので、時差出勤を行っている職場と行っていない職場でバッティングしないのは当然であり「電車がすいてて通勤が楽になった」という意見は、サマータイムが法制化された際にそのまま当てはまるものではありません。