過去の教訓が生かされなかった壮行試合
前半から積極的に飛び出しているし、得意のタイミングでボールを受けることもあったのが、この日は切り返したり持ち直したりが多かった。クロスの出し手となる彼と、受け手であるFWや2列目との呼吸が、いまひとつ合致しなかったからだ。
52分の場面が分かりやすい。
山口から敵陣中央付近で酒井がパスを受けた瞬間、ゴール前には永井と大津がいた。わずかに下がった位置には清武がいた。
柏レイソルから日本代表へ、さらにはハノーバー移籍を促したアーリークロスは、試合を通じてほぼ封印されてしまった。北嶋秀朗のようにニアサイドへ飛び込む選手が、ニュージーランド戦の日本には見当たらなかったのだ。
試合後の記者会見で、関塚隆監督は「両サイドからのクロスに対して、ファーストのセンターバックに跳ね返されることが非常に多かった」と話している。これについては、64分の場面が示唆に富む。
左サイドから永井が突破をはかり、ニアサイドへライナー性のクロスを入れる。だが、杉本も大津もゴール前中央で待ち構えており、クロスはセンターバックにクリアされてしまった。
日本代表の岡田武史前監督は、アジア予選突破後に「ニアゾーン」の活用へ乗り出した。「高さ強さを持った相手だと、単純なクロスでは跳ね返されてしまう」からだった。
U-23日本代表も、ニアゾーンをもっと意識するべきだ。ニアゾーンへのピンポイントクロスからゴールを狙うだけでなく、ここでボールを受ければ日本人のアジリティが存分に引き出される。PKを与えるのは避けたいから、守備側もうかつには飛び込めない。
ニュージーランド戦のハーフタイムに、関塚監督は「(クロスに対する)中への入り方を、もう少し工夫しろ」と指示したという。試合後には「それは課題。これから詰めていきたい」と話した。
選手には、ゲーム中の修正能力を。関塚監督には、課題と言える戦略的部分の上積みを。スペイン戦まで残り2週間を切ったが、まだ時間はある。
関連情報(BiZ PAGE+)

1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している