製造コストが額面を上回るプレミアム型記念貨幣。額面は1万円でも販売価格は7〜8倍、貴金属価格の上昇によってはそれ以上の価値が出ることも期待できる!


国家的記念事業として閣議決定を経て発行

個人向け復興応援国債の保有者に贈られることになり、にわかにクローズアップされているのが、プレミアム型記念貨幣の金貨と銀貨。直近に発行された金貨は2009年の「天皇陛下御在位20年記念金貨」(額面1万円)。銀貨は08年より額面1000円の「地方自治法施行60周年記念銀貨」が発行されている。

そもそも記念貨幣とは、国家的な記念事業として閣議決定を経て発行される貨幣のこと。日本で初めて発行されたのは、1964年の「東京オリンピック記念銀貨」で、これまでに50種類以上が発行されている。発行は不定期で、題材はオリンピックなどの国際的な競技会や各種博覧会、天皇陛下御在位○年、国際空港開港など、さまざま。独立行政法人の造幣局が鋳造、販売を担当している。

製造コストが額面価格を上回る金貨と銀貨

数ある記念貨幣の中でも、素材に貴金属が用いられ、製造コストが額面価格を超えるものが、プレミアム型記念貨幣と呼ばれる。日本で最初に発行されたのは97年の「長野オリンピック冬季競技大会記念金貨」。額面は1万円だが、実際の販売価格は3万8000円だった。その後発行された金貨と銀貨は、すべて額面以上で販売されたプレミアム型記念貨幣だ。

その付加価値から収集の対象となりやすく、前出の地方自治法施行60周年銀貨も販売価格は6000円だが、コイン商では2倍前後の価格で販売されている。特に坂本龍馬が描かれた高知県は人気が高く、一時1万6000円程度で取引された。

かつては額面の20倍もの高値で取引される記念貨幣ブームもあったが、現在はコレクターが減少し、コイン相場は低迷気味。しかし、貴金属価格が上昇すれば、販売価格を上回ることも期待できる。販売価格や発行枚数は素材価格や需要動向を考慮して決定。発売情報は造幣局ホームページに掲載され、金貨や銀貨は抽選販売となる。

コクサイ先生

国債のことならなんでも知っている先生。財務省のイメージキャラクターです。いつもニコニコ温厚な性格の40代男性。メタボ気味で顔が大きいことをちょっと気にしています。


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この記事は「WEBネットマネー2012年5月号」に掲載されたものです。