■課題は最後の1/3

ただ、リーグ全体で見ればシュート数76は7位と少なく、それが得点の少なさに直結しているのも事実。例えば12節の水戸戦ではシュート数こそ上回っているが、積極的に縦に楔を打ち込む場面が少なく、内容としては相手に怖さを与える攻撃はできていなかった。これを受け、千葉戦に臨む前のトレーニングでは「前に付けろ!」という指示が高木監督から飛び、試合でも実際にそうした姿勢は改善されていたものの、ペナルティボックスまでフリーで持ち込みながら思い切ってシュートを選択しなかったためにDFに囲まれるなど、チャンスを潰すシーンも見受けられた。

高木監督自身も「ボックスの中やアタッキングサードでのアイデア、勇気、正確なプレーがもっと必要」と語っている通り、いくら守備が安定して計算できるようになったとは言え、確実に勝点3を得るためにはやはり1得点ではこころもとない。ましてリーグ自体が混戦となれば昇格ラインの勝点は下がり、得失点差が最終順位を左右する可能性が高まるとなれば、追加点を奪える攻撃力が欠かせない。

もっとも、こうした部分は昨シーズンから続いている課題であり、選手の入れ替わりもあって試合数をこなしていないシーズン序盤ということを考えると、致し方ない面もある。千葉のオーロイ同様、長沢にいったんボールを当てる形については研究されてくるはずで、得点パターンのバリエーションを確立していけるかが今後の鍵となりそうだ。

先制した試合では昨シーズンも勝率は高く、今年に入ってもまだ追いつかれたり逆転されたりしたゲームはないが、「いつも先制して逃げ切れるわけではない」と南雄太は言う。そしてこう続ける。「去年の甲府や福岡みたいに、上がるチームは最後に点を取って勝ったり、負けてる試合を引き分けに持っていったり、そういう試合が何試合もある」

そうした観点で見れば、12節の水戸戦、13節の千葉戦とも、昨シーズンから進歩して1ポイント積み上げた試合だった。リーグ中盤にさしかかるここからが、真価が問われる。

■著者プロフィール
【井芹貴志】
1971年生まれ。大学卒業後、情報誌の編集に11年携わり、2005年よりフリー。九州リーグ時代から熊本を取材し、「J's GOAL」「週刊サッカーダイジェスト」「エルゴラッソ」などで熊本を担当。


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