MVPの頼れるキャプテン、川保麻弥(兵庫)。打点王にも輝いたが、ともにクリーンアップを組んでいた小久保志乃が京都に移籍。来季は「重圧が…」と苦笑い

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 初年度のシーズンを終えた日本女子プロ野球リーグは20日、京都市内でコンベンションを開催し、各タイトルの表彰を行った。年間MVPには、最多打点のタイトルを獲得し、キャプテンとしてチームを優勝に導いた兵庫スイングスマイリーズの川保麻弥(26)が選ばれた。
 6名の新入団選手のお披露目も行われ、注目された今年の女子野球ワールドカップ優勝メンバーであった宮原臣佳(20)は京都アストドリームスへの入団が決まった。また、兵庫の圧勝に終わった結果を鑑み、戦力の均衡を図り「リーグの発展のため」(太田幸司SV)、兵庫と京都の間で2対2のトレードを行ったことも発表された。
 
 「まさか、私とは思っていなかった」と本人も驚いたMVPの金のグローブと賞金50万円は川保のもとにやってきた。「タイトルを総ナメにした小西(美加)さんだと思った」と笑う彼女の受賞理由は、初年度のチームをよくまとめたという事だ。

 キャッチャーであり、キャプテンでもある川保は、フィールドもチームもまとめなくてはならなかった。彼女は話す。「チームの選手はしっかりしているが、みんな悩みはある。年齢も違うし経験も違う」メンバーの相談を受け、悩みを聞くことは度々だったと言う。「この子は褒めた方がいいとか、話をキチンと聞いてあげた方がいいとか。その点では先生の経験が生きました」

 川保はプロ野球選手になる以前、埼玉県内の中学校で保健体育の教師をしていた。男子野球部の顧問も任され、50人の部員をまとめていた。相談を受けるのも、指導するのも経験があり、プロになりキャプテンに推されたのも当然だった。

 最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手3冠に輝いた小西も「川保から学ぶことは多かった。2人で取ったタイトルだと思う」と話す。本人は「3年ぐらい実戦のブランクがあり、初めは不安だった」と言うが、フィールドではそれを感じさせず、ホームベースの後ろに座り続けた。

 「充実した1年でした。でも、来年はトレードもあって、年俸にも差が出てきた。よりプロとしての自覚、結果が求められると思う」話を聞く度に「プロ意識」を口にする彼女。自身にもチームにもまだまだ満足していないと思う。来季はどんなキャプテンシーを見せてくれるのか。楽しみである。

主なタイトル受賞者は次の通り。
□年間MVP
  川保麻弥(兵庫スイングスマイリーズ)
□首位打者
  川端友紀(京都アストドリームス)3割9分3厘
□最多打点
  川保麻弥(兵庫スイングスマイリーズ)36打点
□最多盗塁
  小西美加(兵庫スイングスマイリーズ)28盗塁
□最多勝利
  小西美加(兵庫スイングスマイリーズ)9勝4敗1S
□最優秀防御率
  小西美加(兵庫スイングスマイリーズ)1.79
□最多セーブ
  岩谷美里(兵庫スイングスマイリーズ)3勝0敗5S


(取材・文=小崎仁久)

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