GROUPONに見るソーシャルメディアの収益性(後編)
2010年5月24日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
Grouponは、創業わずか2年で300億円とも言われる売上をあげ、しかもキャッシュフローもすでにポジティブで資金は潤沢だ。
ビジネスモデルは非常にシンプルで、特定地域の店舗などのお得商品を紹介し、ほしいと手を挙げた人数が一定数に達したら安く購入できるクーポンを手に入れられるというもの。つまり共同購入サービスであり、通販サイト「ネットプライス」の「ギャザリング」とほぼ同じだ。
まずは商品がリアル店舗への来場、つまりオフラインのトラフィックをベースとしていることだ。だから商品は物流を伴うようなものであったりネットでそのままオンラインで購入できるようなものではなく、エステやダイビングの講習など、なんらかの実体験を伴うようなものが多い。結果として、ユーザーが客として実際に現地を訪れる必要があるから、共同購入に参加する際に、どこの地域・場所での商品なのかが大事なポイントになる。
もうひとつは共同購入者を集結させるために、既存のソーシャルメディアのトラフィックをうまく使っていることだ。共同購入サービスはビジネスモデルの特徴としてどうしても薄利多売だ。Yahoo!などの既存のポータルのアドネットワークや検索結果連動広告などを使っていては黒字化が難しくなる。つまりSEOではもなくSMO(ソーシャルメディア最適化)を狙うサイト構築をしている。
周知のとおり、すでにGoogleからのトラフィック送客量よりもFacebookのそれのほうが大きくなっている。Twitterや既存のBlogなどを考え合わせればソーシャルメディア対策はSEOよりも遥かに重要になっている。
ソーシャルメディアマーケティングは、ユーザーとの対話によるブランドイメージ向上という、単一的な手法に対する論戦が闊達であるが、実は本命はソーシャルコマースそのものにある。Grouponの成功によって、Eコマース業者達が色めき立つのはまちがいないだろう。
「Groupon」(http://www.groupon.com/)
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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