モスクワの雑誌(撮影:杉山茂樹)

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僕はいまモスクワに滞在している。というわけで、セルビア戦の3軍との試合は見ていません。

日本ではそれなりの騒ぎになっているようですが、僕に言わせると遅い! のだ。なぜもっと早くダメ出しできなかったのか。岡田サンの指導力より、それを放置してきた人の方にこそ問題があると僕は思う。

1に協会、2にメディア、3にファンだ。中でも、いただけないのはメディアになる。基本的にメディアは、ファンに比べて専門性が高い。日頃から取材パスが与えられ、試合も記者席という眺めの良い場所から観戦できる特権がある。サッカーに詳しくて当然、ファンより見る目があって当然のポジションにいる。その道のプロを自負するのなら、現状がよく見えなければ、良くないと書くのが筋。果たすべき役割になる。

ヨイショはできても批判ができない人。そうした人たちでメディアが構成されていれば、ファンにもその気質は伝播する。緩い世界にファンも同化しがちだ。ファンによってメディアが育てられる側面もあるが、優位性はやはりメディアの方が高い。基本的には、メディアによってファンは育てられるものなのだ。

日本の現状はむしろその逆だ。2月に行われた4連戦でスタンドからブーイングが湧き、岡田サンの支持率が2割程度に落ち込むと、メディアはようやく重い腰を上げた。かのように見えた。だが、ある雑誌が、その専門記者にアンケートを採ったところ、7割が岡田続投支持だった。

ならば、最後まで岡田サンと心中しろと僕は言いたい。セルビアに0-3で敗れても、堂々と、大丈夫だ!と言い続けることだ。途中で折れ、こっそり大衆に迎合することほど格好悪いモノはない。僕はそう思う。

4年に一度のワールドカップは、僕らにとっても勝負の時だ。日本代表の戦いを4年間取材し続けてきた集大成として、本大会での可能性を予想する。サッカーの結果には運不運がつきものなので、言い訳したくなることもたびたびあるが、それでも勝負しなくてはならない。ライターとしての真価が問われている。勝手に僕はそう解釈している。

面白味、やりがいを感じていると言ってもいいかもしれない。スリルも感じずにはいられない。

もちろん、岡田ジャパンの惨敗を祈っているわけではないが、一番の治療薬が、惨敗であることは事実。

このダメな世界から脱却するためには、抜本的な改革が必要だ。下手に1勝すると、よくやった! とヨイショに走る人は確実にいる。惜しくも決勝トーナメント進出ならず……では、反省ムードは芽生えない。

いま、犬飼会長がやるべきことは、監督交代をおいてほかにない。いまからでも遅くはない。代表監督としての才覚がまるでないことが、白日の下に曝されることになった岡田サンの続投より、悪いチョイスはない。一流監督なんてことは言わない。誰でも構わないから新監督を招くべき。まずはそのクビを切ることが先決だと僕は思う。

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