担当M(以下M):岡田武史監督はこれまで散々バッシングを浴びました。そう言えばラモスさんもこれまで様々なバッシングを浴びたと思います。そんな厳しい時はどうやれば乗り切れるものですか?

ラモス(以下R):ブレないこと。それが一番です。それに僕には支えてくれる家族がいた。仲間もいました。僕は自分を信じていたし、監督時代は自分の選手たちも信じていた。本当に信じていたからブレずにすんだ。それが大事だと思います。

M:ですが、ブレないということは頑固とか固執するということにつながりませんか。

R:それはそうじゃないでしょう。僕はどんなときも人の話は聞きました。苦しいときでも、たとえば記者さんたちからの意見も聞いていました。そしてその中で大切だと思うことはどんどん取り込んでいった。みんなヒントをどんどんくれていたんです。誰かからアドバイスをされたからといって、それをそのまま取り入れなくていいんです。自分流にアレンジしたり考えたりして取り入れることが大切。それだとブレるということではないでしょう? 日本代表のプレッシャーって本当に大きい。だから岡田監督が周囲に対して壁を作ってもそれは仕方がない部分があります。それでもその壁の中に彼にいろいろ意見を言える人をつくっておいたほうがいい。そうすることで打破できることもあるから。

M:東京V時代のラモス監督はどんな人に支えてもらいましたか。

R:それはコーチだった柱谷哲二だったし、選手たちだったし、一番苦しいときに電話をかけてきてくれた岡田監督だったし、松木安太郎だった。それから、福岡の監督だったリトバルスキーも「方向は間違っていないから辞めないで」と電話してきてくれましたね。それはうれしかったですね。本当を言うと、そのころって辞めようかと思っていたんですよ。選手は一生懸命やっているんだから、あと何かの刺激を与えないといけないんじゃないかと。だけど、そうやって言ってくれる人たちがいて気を取り直した。そうしていると負けていても内容は良かったから、一度引き分けると今度はどんどん勝点を拾っていけるようになった。安心しました。そのときに支えてくれた人たちには本当に感謝してますよ。

M:選手もこれからちょっとミスをすればすごいバッシングを浴びます。選手はどんな心構えでいればいいのでしょうか。

R:自分たちのサッカーのよさを思い出してほしいってことです。今サッカーにのめり込みすぎているから、もう少し遊びを思い出してほしい。だけど日本の代表なんだから集中してプレーしてほしい。誇りを持ってね。そうすれば乗り切れます。