写真/舩越園子(タイガーのインタビューを放映したESPNのテレビ画像)

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3月21日、米ツアー「トランジションズ選手権」の優勝が決まろうとしていた日曜日の午後7時30分(米東部時間)、米ケーブル局のESPNがタイガー・ウッズと1対1のテレビインタビューを放映した。昨年11月27日の交通事故以来、タイガーがメディアからの質問に直接答えたのは初めてのこと。5分間だけというタイムリミットが付けられた同様の1対1インタビューは、ゴルフ専門ケーブル局のゴルフチャンネルでも行われ、放映された。

ESPNのインタビュア、トム・リナルディと立ったまま向き合ったタイガーは、両手を体の前に組み、かしこまった姿勢を終始崩さなかった。王者として輝いていた昨秋までは、こうしたテレビ専用のインタビューに立ち姿勢で答えることはほとんどなく、いつも椅子に座って足を組み、余裕の笑顔を絶やさなかった。が、さすがに今回は、まるでテレビからの取材に不慣れな新人のように両手を前に組んだ姿が印象的だった。

1対1の独占インタビューながら、タイガーはインタビュアからのすべての質問に答えたわけではない。いくつかの質問に対しては、妻エリンと自分とのプライベートな問題だからと返答を拒否した。

タイガーが答えた中で興味深かったのは、ファンの反応に対する気持ちを問われた際の返答ぶりだった。両目を大きく見開き、「わからない。それは、わからないよ」と繰り返した直後、「拍手がもらえることを期待している」と謙虚に付け加えた。

だが、笑顔も見せた。タイガーが公けの場で笑顔を見せたのも、あの事故以来、初めてだった。トランジションズ選手権で優勝したジム・フューリックも「顔と顔を突き合わせ、質問に答え、パブリックに向き合うことは、カンバックへの自然な前進だ」と評価していた。

マスターズでツアーという戦いの現場に復帰する前に、少しずつタイガーが世間への復帰を開始した――今日のテレビインタビューは、その始まりと言えるだろう。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)