――倉木さんって、今こうして話している声もそうですが、類稀に透明感のある歌声の持ち主だなと感じるのですが、10年目を迎えるにあたり、これまでずっと付き合ってきた、自分の声についてはどのように受け止めていますか?

倉木:一番最初に自分が歌手になろうと思ってデモテープを作って聴いた時に、やっぱり衝撃を受けると言うか、「私って、こんな声だったんだ!」って。

――そういう経験は、誰もがありますね。

倉木:ありますよねー!もう今となっては慣れてしまった部分もあると思うんですけど、最初デビュー曲の「Love, Day After Tomorrow」をレコーディングした時には、自分の声ってすごくこう、何て言ったらいいんだろう? スーっとしているなって(笑)。言葉では表現できないんですけど、サラッとしているような(笑)、そんな声質だなと思って。でも、それが最近はコーラスをたくさん作ったり、そういう音の一部としてかっこいいサウンドを作りたい、自分の声でやっていきたいという風に思ってきて。

――「DIAMOND WAVE」の最後に収録されている「Voice of Safest Place」など、コーラスワークがすごくきれいで、リードヴォーカルもいいんですけど、重ねることによって、また違った表情を見せる歌声だなと思っていて。正直、最初はどちらかと言うと線の細いイメージをなんとなく持っていたんですけど、レコーディングのように録り重ねることのできないライブで生の倉木さんの歌声を聴くと、本当は芯の強い人なんだなと感じました。

倉木:ありがとうございます(笑)。

――なんか不思議な人だなと(笑)。

倉木:私も自分自身で「不思議だなぁ」って思います(笑)。ライブをすると、オーディエンスみんなの気が集まって、すごくパワフルな気持ちになるんですよね。多分、その気が歌に出ているんじゃないかな?って。

――ツアーなどで毎回ライブを重ねていく中で、「今日はいいライブができたな」と感じるのはどういう時ですか?

倉木:100%満足と思ったことは、今までやってきた中で一度も無くて。いつも「どこか悪いんじゃないか?」とか「ここがダメだったのかな?」とか、結構そういう不安要素を持っている時が多いんですね。でも、「今日はみんなノッてくれてるな」というみんなの表情だったり、アンコールが終わってみんなと一体になって手拍子をする所があるんですけど、波のように返ってきた時は、「今日はいいライブだったんじゃないかな」って一番思います。

――実際に観させて頂いたのは日本武道館や、さいたまスーパーアリーナ、東京国際フォーラムなどの大きな会場だったのですが、ステージ上の倉木さんからはどんな光景が見えてるいのかなって。

倉木:会場によってもあるんですけど、ステージから見ると、もう本当にみんながハァー!っているのがすごく分かりますね。気って言うんですかね?ステージに立った時に圧されるものがありますね。それは多分、バンドのメンバーだったり、ステージ上に上がっている人だったら分かると思うんですけど。一人一人の顔は前の席の人だったり、もちろん視力が限られているんですけど(笑)。でも、「今日はみんな、すっごく盛り上がってるな!」というのは、気で感じますね。あとは手拍子とかが、波になって返ってくるというのもありますね。

第1回「自分自身にもっと触れてほしい」(2008年11月19日)
第2回「100%満足したことは、今まで一度も無い」(2008年11月26日)
第3回「色んな人たちの背中を押してあげられるようなアーティストに」(2008年12月03日)

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