【最新ハイテク講座】「人工衛星」はなぜ落ちてこないの?
2008年2月28日、アメリカは制御不能により落下の危険性がある自国の人工衛星をイージス艦からのミサイルで破壊した。同国によると、衛星の姿勢制御で使用している燃料の「ヒドラジン※」が人体に有害であり、衛星落下によるヒドラジンの被害を避ける目的があったと報じられている。
※無機化合物の一種。毒性が強く、皮膚に接触すると腐食をもたらす
国内に目を向けると、2008年2月23日、超高速インターネット衛星「きずな」が打ち上げられた。「きずな」は将来における情報ネットワークの高速と大容量化を想定し、企業や一般家庭で超高速なネット環境を実現させるための衛星だ。
・日本の超高速ネット衛星『きずな』から米国が学ぶべき点 - WIRED VISION
・超高速インターネット衛星「きずな」打ち上げに成功 - J-CASTニュース
考えてみれば、日々の天気予報やルート検索に使用するカーナビにおいても、我々は人工衛星の力を借りているが、ここでひとつの疑問が残る。
どうして人工衛星は地球に落ちてこないのだろうか?
人工衛星の技術と歴史から、その謎を解明してみよう。
■人工衛星の歴史とその技術
人工衛星は、惑星の周りをまわる人工天体のことだ。大半は地球の周りをまわっているが、火星や土星などの惑星をまわっている人工衛星も存在する。
●人工衛星の歴史とその構造
世界初の人工衛星は、ソビエト連邦が1957年10月4日に打ち上げたスプートニク1号だ。コンスタンチン・E・ツィオルコフスキー※の生誕100年と国際地球観測年に合わせて打ち上げられた。直径58cmのアルミニウム製の球体に4本のアンテナが装備され、電離層の観測と電波の伝播実験に使用された。
※ソビエト連邦の科学者、ロケット研究者。ロケット理論や宇宙服、宇宙遊泳、人工衛星などの原理を考案し、現代ロケット工学の基礎を築いた。「ロケット工学の父」「宇宙開発の父」などと呼ばれる
日本初の人工衛星は、宇宙科学研究所の前身である東京大学宇宙航空研究所が1970年2月11日にL-4S 5号機によって打ち上げた「おおすみ」だ。目的は、ミューロケットによる人工衛星打ち上げ技術の習得と衛星についての工学的試験で、発射2時間半後に内之浦で無事に信号電波を受信することができた。
一般的な人工衛星は、観測機器のほかに通信装置、アンテナ、姿勢制御装置、電源装置、熱制御装置などを備えており、打ち上げ時やロケットからの分離時に大きな衝撃を受けることから、衛星本体や搭載した機器が破損しないように設計されている。
●人工衛星が地球に落ちてこない理由
我々の生活に身近なボールを例に、人工衛星が地球に落下しない理由を説明してみよう。普通にボールを投げると、ボールは地球の重力に引かれてやがて地表に落ちる。ボールの速度が上がると、地表に落ちるまでの滞空時間が長くなり、距離も伸びる。地球はおおむね球体なので、ボールの初速度をある速度※まで上げると、ボールは手を離れた位置に戻り、さらに跳び続けて地球を周回するようになる。この速度が、およそ7.91km/sで「第一宇宙速度」と呼ばれている。ボールが描く軌跡を軌道と呼び、ボールに与えられたスピードによって発生した遠心力が地球の引力と釣り合った状態となり地表に落ちてこなくなるわけだ。もう少し詳しく説明しよう。
イギリスの物理学者 サー・アイザック・ニュートンは、太陽を公転する地球の運動や木星の衛星の運動を説明するために、ケプラーの法則に運動方程式を適用することで新しい法則を発見した。「万有引力の法則」と言われるものだ。
万有引力の法則とは、あらゆる物体に働く力で、「2つの物体の間には、その物体の質量に比例し、物体間の距離の2乗に反比例する引力が作用する」という法則だ。高校で物理を勉強した人なら、万有引力の強さを「質量の積、距離の2乗に反比例」と覚えている人もいるであろう。万有引力の大きさFは、物体の質量をM, m、物体間の距離をr、万有引力定数をGとして、次のように表記される。
F=GMm/r2
※r2=r×r
遠心力Fは、物体の質量をm、物体間の距離をrとして、次のように表記される。
F=mrω2=mr(v/r)2=mv2/r
第一宇宙速度は、万有引力と遠心力が釣り合った状態なので、ボールの質量をm、地球の質量をM(5.97×1024[kg])、地球の半径をR(6.36×106[m])、万有引力定数をG(6.67×10-11[m3s-2kg-1])として、下記のように求められる。
F=mv2/r=GmM/r2
v2=GM/r
v=sqrt(GM/R)=7.91×103[m/s]=7.91[km/s]
ボールを秒速7.91kmよりも速いスピードで投げると、理論上、ボールは地面に落ちずに地球をまわり続け、秒速7.91km未満では地表に落下する。人工衛星も秒速7.91kmよりも速いスピードで打ち上げれば、地球の周りをまわり続けるということになる。ただし、第二宇宙速度※となる約11.2[km/s]を超えると、地球の重力圏を脱出して、太陽のまわりをまわる人工衛星となる。
※第一宇宙速度のsqrt(2)倍で、地球の重力圏を脱出する理由から「脱出速度」とも呼ばれる
■人工衛星の軌道とその目的
人工衛星は、用途や目的によって利用する軌道が異なっている。
●静止軌道
静止軌道は、赤道上空の約3万6,000kmの位置にある。高度が高くなれば引力の影響が小さくなるため、それだけ低速になり、高度約3万6,000kmでは初速度がおよそ3.07[km/s]で済む。これは、地球の自転速度と同じであり、地表から見て常に同じ位置に人工衛星があることになる。そのため、静止軌道上にある人工衛星は静止衛星と呼ばれることもある。静止軌道は、定点観測を行う気象衛星や、放送衛星、通信衛星に使用されている。
●同期軌道
1日に1周だけ地球を回る衛星軌道を同期軌道という。静止軌道とは違い、赤道上空に限定されない。そのため、静止軌道でカバーできない高緯度地域の観測や通信に利用される。
●回帰軌道
1日に複数回の周回を重ねて元の地点に戻ってくる軌道。この場合、衛星の周期は、地球の自転周期の整数分の1となる。極地など高緯度地域の観測や通信を行う人工衛星に用いられる。
●準回帰軌道
1日に複数回の周回を重ねて数日後に元の地点に戻ってくる軌道。長期的かつ定期的に同一地域を観測する地球観測衛星などで使用される。
●極軌道
赤道に対して直角に周回する軌道を極軌道という。600〜800kmという比較的低高度で利用されることが多い。地球を約90分で1周し、その間に地球が自転するため、1周ごとに異なった地域を通ることになり、地球全体をカバーできる。高度が低いことから地表の情報を詳細に得ることができるため偵察衛星や地球観測衛星で利用されることが多い。
●太陽同期軌道
人工衛星と太陽の位置関係が常に同期するように周回する軌道。この軌道では、軌道面(※)が1年で1回転するため、軌道面と太陽の方向が年間を通して常に一定になる。これにより人工衛星から地球を見た場合に、地表に当たる太陽光の入射角が常に一定になり、同一条件で地球表面の観測に適している。
●太陽同期準回帰軌道
太陽同期軌道と準回帰軌道を組み合わせた軌道である。一定周期で同一地点の上空に戻り、通過時間も同じであり、地球観測衛星に多く用いられる。
※軌道面:軌道が描く円または楕円の面のこと
■人工衛星が抱える課題
今や多数の人工衛星が打ち上げられ、生活や軍事、通信などで役立っているが、大きな課題がいくつか残されている。
●地球への落下の危険性
人工衛星は、理論上、第一宇宙速度を保持していれば地球に落下することはない。ところが、高度の低い人工衛星の場合は上層の大気の影響による摩擦抵抗の影響を受け、周回速度が低下する問題が発生する。速度が低下すると衛星の高度は徐々に下がり、最終的には地球に落下してしまうのだ。
対策としては、通常、スラスターなどで推力を加えて衛星の軌道を元の高度に戻すようにしている。ただし、スラスターには燃料が必要なため燃料を使い切ったときが人工衛星の寿命となる。ほかにも装置の故障などにで制御不能となった場合に落下する可能性もある。
●寿命を迎えた人工衛星の運命と問題
寿命を迎えた人工衛星には、2つの運命が待っている。ひとつは、衛星を成層圏に落とすことで摩擦熱により焼却処分する。通常は大気中で完全に燃え尽きてしまうため部品が地表に落ちてくることはない。
もうひとつは、そのまま軌道上をまわり続けるというものだ。これらは使用済みのロケットなどと共に「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」と呼ばれており、いうなれば宇宙に危険なゴミを放置していることになるため将来の宇宙時代への課題ともなっている。
「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」は最小でナノ単位だが、センチ単位以上であれば稼働中の人工衛星に衝突して破壊してしまう可能性がある。宇宙ゴミ同士の衝突でも微細なスペースデプリの大量発生の元となる。これらのデプリを除去しなければ、将来的に宇宙空間を使用できなくなるとさえ言われている。
ちなみに通常なら人工衛星は落下時の摩擦熱で焼却されるわけだが、なぜ今回のアメリカはミサイルで破壊したのだろうか?
その理由は、人工衛星の質量(重量)にあるのだ。質量が大きい人工衛星の場合、完全に燃え尽きないで地表まで到達することがあるという。過去に3トンの人工衛星を落下させた際に、かなりの破片が地上まで到達したのだという。
そして今回問題の衛星は、なんと小型バス並みの大きさを持つ軍事衛星で10トンも質量があり、大気圏での完全焼却は不可能と判断したため、ミサイルによる破壊が決定したというわけだ。
参考
・人工衛星 | スプートニク計画 | 宇宙速度 | 人工衛星の軌道 - ウィキペディア
・宇宙航空研究開発機構(JAXA) - 公式サイト
・NASA - 公式サイト
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※無機化合物の一種。毒性が強く、皮膚に接触すると腐食をもたらす
国内に目を向けると、2008年2月23日、超高速インターネット衛星「きずな」が打ち上げられた。「きずな」は将来における情報ネットワークの高速と大容量化を想定し、企業や一般家庭で超高速なネット環境を実現させるための衛星だ。
・超高速インターネット衛星「きずな」打ち上げに成功 - J-CASTニュース
考えてみれば、日々の天気予報やルート検索に使用するカーナビにおいても、我々は人工衛星の力を借りているが、ここでひとつの疑問が残る。
どうして人工衛星は地球に落ちてこないのだろうか?
人工衛星の技術と歴史から、その謎を解明してみよう。
■人工衛星の歴史とその技術
人工衛星は、惑星の周りをまわる人工天体のことだ。大半は地球の周りをまわっているが、火星や土星などの惑星をまわっている人工衛星も存在する。
●人工衛星の歴史とその構造
世界初の人工衛星は、ソビエト連邦が1957年10月4日に打ち上げたスプートニク1号だ。コンスタンチン・E・ツィオルコフスキー※の生誕100年と国際地球観測年に合わせて打ち上げられた。直径58cmのアルミニウム製の球体に4本のアンテナが装備され、電離層の観測と電波の伝播実験に使用された。
※ソビエト連邦の科学者、ロケット研究者。ロケット理論や宇宙服、宇宙遊泳、人工衛星などの原理を考案し、現代ロケット工学の基礎を築いた。「ロケット工学の父」「宇宙開発の父」などと呼ばれる
日本初の人工衛星は、宇宙科学研究所の前身である東京大学宇宙航空研究所が1970年2月11日にL-4S 5号機によって打ち上げた「おおすみ」だ。目的は、ミューロケットによる人工衛星打ち上げ技術の習得と衛星についての工学的試験で、発射2時間半後に内之浦で無事に信号電波を受信することができた。
一般的な人工衛星は、観測機器のほかに通信装置、アンテナ、姿勢制御装置、電源装置、熱制御装置などを備えており、打ち上げ時やロケットからの分離時に大きな衝撃を受けることから、衛星本体や搭載した機器が破損しないように設計されている。
●人工衛星が地球に落ちてこない理由
我々の生活に身近なボールを例に、人工衛星が地球に落下しない理由を説明してみよう。普通にボールを投げると、ボールは地球の重力に引かれてやがて地表に落ちる。ボールの速度が上がると、地表に落ちるまでの滞空時間が長くなり、距離も伸びる。地球はおおむね球体なので、ボールの初速度をある速度※まで上げると、ボールは手を離れた位置に戻り、さらに跳び続けて地球を周回するようになる。この速度が、およそ7.91km/sで「第一宇宙速度」と呼ばれている。ボールが描く軌跡を軌道と呼び、ボールに与えられたスピードによって発生した遠心力が地球の引力と釣り合った状態となり地表に落ちてこなくなるわけだ。もう少し詳しく説明しよう。
イギリスの物理学者 サー・アイザック・ニュートンは、太陽を公転する地球の運動や木星の衛星の運動を説明するために、ケプラーの法則に運動方程式を適用することで新しい法則を発見した。「万有引力の法則」と言われるものだ。
万有引力の法則とは、あらゆる物体に働く力で、「2つの物体の間には、その物体の質量に比例し、物体間の距離の2乗に反比例する引力が作用する」という法則だ。高校で物理を勉強した人なら、万有引力の強さを「質量の積、距離の2乗に反比例」と覚えている人もいるであろう。万有引力の大きさFは、物体の質量をM, m、物体間の距離をr、万有引力定数をGとして、次のように表記される。
F=GMm/r2
※r2=r×r
遠心力Fは、物体の質量をm、物体間の距離をrとして、次のように表記される。
F=mrω2=mr(v/r)2=mv2/r
第一宇宙速度は、万有引力と遠心力が釣り合った状態なので、ボールの質量をm、地球の質量をM(5.97×1024[kg])、地球の半径をR(6.36×106[m])、万有引力定数をG(6.67×10-11[m3s-2kg-1])として、下記のように求められる。
F=mv2/r=GmM/r2
v2=GM/r
v=sqrt(GM/R)=7.91×103[m/s]=7.91[km/s]
ボールを秒速7.91kmよりも速いスピードで投げると、理論上、ボールは地面に落ちずに地球をまわり続け、秒速7.91km未満では地表に落下する。人工衛星も秒速7.91kmよりも速いスピードで打ち上げれば、地球の周りをまわり続けるということになる。ただし、第二宇宙速度※となる約11.2[km/s]を超えると、地球の重力圏を脱出して、太陽のまわりをまわる人工衛星となる。
※第一宇宙速度のsqrt(2)倍で、地球の重力圏を脱出する理由から「脱出速度」とも呼ばれる
■人工衛星の軌道とその目的
人工衛星は、用途や目的によって利用する軌道が異なっている。
●静止軌道
静止軌道は、赤道上空の約3万6,000kmの位置にある。高度が高くなれば引力の影響が小さくなるため、それだけ低速になり、高度約3万6,000kmでは初速度がおよそ3.07[km/s]で済む。これは、地球の自転速度と同じであり、地表から見て常に同じ位置に人工衛星があることになる。そのため、静止軌道上にある人工衛星は静止衛星と呼ばれることもある。静止軌道は、定点観測を行う気象衛星や、放送衛星、通信衛星に使用されている。
●同期軌道
1日に1周だけ地球を回る衛星軌道を同期軌道という。静止軌道とは違い、赤道上空に限定されない。そのため、静止軌道でカバーできない高緯度地域の観測や通信に利用される。
●回帰軌道
1日に複数回の周回を重ねて元の地点に戻ってくる軌道。この場合、衛星の周期は、地球の自転周期の整数分の1となる。極地など高緯度地域の観測や通信を行う人工衛星に用いられる。
●準回帰軌道
1日に複数回の周回を重ねて数日後に元の地点に戻ってくる軌道。長期的かつ定期的に同一地域を観測する地球観測衛星などで使用される。
●極軌道
赤道に対して直角に周回する軌道を極軌道という。600〜800kmという比較的低高度で利用されることが多い。地球を約90分で1周し、その間に地球が自転するため、1周ごとに異なった地域を通ることになり、地球全体をカバーできる。高度が低いことから地表の情報を詳細に得ることができるため偵察衛星や地球観測衛星で利用されることが多い。
●太陽同期軌道
人工衛星と太陽の位置関係が常に同期するように周回する軌道。この軌道では、軌道面(※)が1年で1回転するため、軌道面と太陽の方向が年間を通して常に一定になる。これにより人工衛星から地球を見た場合に、地表に当たる太陽光の入射角が常に一定になり、同一条件で地球表面の観測に適している。
●太陽同期準回帰軌道
太陽同期軌道と準回帰軌道を組み合わせた軌道である。一定周期で同一地点の上空に戻り、通過時間も同じであり、地球観測衛星に多く用いられる。
※軌道面:軌道が描く円または楕円の面のこと
■人工衛星が抱える課題
今や多数の人工衛星が打ち上げられ、生活や軍事、通信などで役立っているが、大きな課題がいくつか残されている。
●地球への落下の危険性
人工衛星は、理論上、第一宇宙速度を保持していれば地球に落下することはない。ところが、高度の低い人工衛星の場合は上層の大気の影響による摩擦抵抗の影響を受け、周回速度が低下する問題が発生する。速度が低下すると衛星の高度は徐々に下がり、最終的には地球に落下してしまうのだ。
対策としては、通常、スラスターなどで推力を加えて衛星の軌道を元の高度に戻すようにしている。ただし、スラスターには燃料が必要なため燃料を使い切ったときが人工衛星の寿命となる。ほかにも装置の故障などにで制御不能となった場合に落下する可能性もある。
●寿命を迎えた人工衛星の運命と問題
寿命を迎えた人工衛星には、2つの運命が待っている。ひとつは、衛星を成層圏に落とすことで摩擦熱により焼却処分する。通常は大気中で完全に燃え尽きてしまうため部品が地表に落ちてくることはない。
もうひとつは、そのまま軌道上をまわり続けるというものだ。これらは使用済みのロケットなどと共に「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」と呼ばれており、いうなれば宇宙に危険なゴミを放置していることになるため将来の宇宙時代への課題ともなっている。
「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」は最小でナノ単位だが、センチ単位以上であれば稼働中の人工衛星に衝突して破壊してしまう可能性がある。宇宙ゴミ同士の衝突でも微細なスペースデプリの大量発生の元となる。これらのデプリを除去しなければ、将来的に宇宙空間を使用できなくなるとさえ言われている。
ちなみに通常なら人工衛星は落下時の摩擦熱で焼却されるわけだが、なぜ今回のアメリカはミサイルで破壊したのだろうか?
その理由は、人工衛星の質量(重量)にあるのだ。質量が大きい人工衛星の場合、完全に燃え尽きないで地表まで到達することがあるという。過去に3トンの人工衛星を落下させた際に、かなりの破片が地上まで到達したのだという。
そして今回問題の衛星は、なんと小型バス並みの大きさを持つ軍事衛星で10トンも質量があり、大気圏での完全焼却は不可能と判断したため、ミサイルによる破壊が決定したというわけだ。
参考
・人工衛星 | スプートニク計画 | 宇宙速度 | 人工衛星の軌道 - ウィキペディア
・宇宙航空研究開発機構(JAXA) - 公式サイト
・NASA - 公式サイト
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・デジカメはどうして写真が撮れるのか? 「CCD」「CMOS」技術
・今や必需品の「リチウムイオン電池」 どうして爆発事故が起こるのか
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