セリエA第19節でローマ対カターニャ戦が行われる。昨季、ローマが7対0という衝撃的なスコアで勝ったカードだ。マリーノ監督(現ウディネーゼ)に率いられていたカターニャは、欧州屈指の攻撃力を持つローマ相手に無残なまでに玉砕した。

 真相は定かではないが、もはや決定的ともいえる4点目を奪われた後、カターニャの選手たちは攻撃の手を緩めるよう、ローマの選手たちに懇願したという。だがそれは聞き入れられずに、さらに3点を奪われた。屈辱的だった。

 そして試合後、同情したローマのスパレッティ監督は通路でカターニャ選手たちを待ちうけ、握手を求めた。だが、慈悲もない試合運びをした挙句に握手とはあまりに馬鹿にしているとして、怒り心頭のカターニャの選手たちは全員それを拒否した。
 事が公になるとちょっとした議論が沸き起こった。試合の優劣が決した後も大量スコアを狙うことは、相手への礼儀を欠くことになるのか? それともできるかぎり多くのゴールを狙うべきなのか?

 プロである以上、最善の結果を求めるのが第一だと考える筆者は、カターニャの言い分に同調することはできない。7失点の原因は昨季のカターニャのスタイルにあった。ローマのマシンガン・アタックに、強固なDF基盤を持たないままイケイケ・サッカーで付き合えばどうなるかは自明の理だった。屈辱だというのなら守りを固めればよかっただけの話だ。人情がない、慈悲がない、などというのはお門違いだ。確かに7失点した選手の名前は消せない汚点として未来永劫歴史に残る。だがそれはプロ選手である以上甘受すべき責任の一端だろう。ローマもまた昨季のCL準々決勝で、マンチェスター・U相手に7失点したことを覚えている読者も多いだろう。

 バルディーニ監督に率いられた今季のカターニャは、ガチガチの守備サッカーで勝ち点を積み重ねている。ローマ戦を前に指揮官は「もうあんなスコアはくり返されないだろう」と語っている。結果だけが評価される世界。カターニャはどう応えるだろうか。