【インタビュー】ラグビーW杯開幕あと1年 SH斎藤直人の思い「勝つ、勝ちたい」大舞台で進化の証明
ラグビーW杯オーストラリア大会は、1年後の27年10月1日に開幕する。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、66)率いる日本代表で、代えの利かない存在となったSH斎藤直人(29=東京SG)。昨季まで2シーズンをフランスで過ごし、スケールアップを遂げて2度目の大舞台へ挑む。
アルゼンチンに敗れ、決勝トーナメントへの道が閉ざされた前回大会から1089日。涙声で「もう一回、戻ってきたい」と誓った斎藤が、目指す舞台が1年後に迫った。
「あの時と変わらず、戻りたいという気持ちは変わらずにある。個人的にも23年から成長していると思うし、チームは大きく変わったが、昨年の終わりから今年にかけては成長を感じるので楽しみ」
26歳で出場した前回大会。最初の2戦は途中出場、3、4戦目は先発し、最後のアルゼンチン戦はフル出場した。だが8強入りを懸けた一戦は力不足を痛感する80分間となった。
「目標としていた大会に出てプレーできたことはうれしかったが、一方で自分の納得いくパフォーマンスはできなかった。(2戦目の)イングランド戦は何もできなかったし、アルゼンチン戦はキックの精度が低かった」
4年後は必ずチームを勝たせられる9番になる。以前から漠然と描いていた海外でのプレーを、決断するには十分な動機となった。
「元々、海外に行きたいとは思っていたが、W杯で結果を出す、パフォーマンスを出せるようになるには、常に高いレベル、高いプレッシャーの中でプレーするべきと思った」
移籍先はレベル、人気面ともに世界一とされるフランスリーグ。中でも最多優勝を誇る強豪トゥールーズの門を叩き、2シーズン計35試合に出場。自己研さんの日々を過ごした。
「おそらく今、世界で一番レベルが高いリーグ。でもラグビーは想像していたよりも自由だった。それがかえって難しさでもあった」
チームの決め事が少ないからこそ、常に個のスキルと判断が求められる。一つ誤れば、一回りも二回りも大きな選手につぶされる。
「トゥールーズではプレーが切れた時、すぐにクイックタップのセットをするとか、常に求められた。それが自分に染みついている。今は自然とできるようになったと、日本に帰ってきて感じる」
同僚には世界最高のSHと呼び声が高いデュポンがいた。日常的に接することで、たくさんの学びを得た。
「彼の凄さは、とにかくチャレンジし続けること。ミスしても全然気にしない。試合で僕がミスをしても“チャレンジすることの方が大事だから、気にしなくていいよ”と言われた。練習でもチャレンジする。だから試合で、一発で“スゲー”と思うプレーが出る」
2年間の武者修行を完走し、迎えた7~9月のテストマッチ8試合。全試合で先発を任され、プレーで進化を証明。9月は主将も任され、押しも押されもせぬ正SHとなった。
「まだまだ伸ばさなければいけないが、キックの判断と精度は上がったと思う。立場も変わった。以前は1人で部屋で過ごすタイプだったが、今はいろんな選手に話しかけたり、ご飯に誘ったり。最初は意識的にやっていたが、今はそれが自然にできている」
超速ラグビーも徐々に浸透し、一定の成果を出した夏シーズン。秋の欧州遠征では強豪に勝ち、自信を植え付けてW杯に臨みたい。
「日本代表の歴史でまだないこと。アウェーで結果を残せるかが大事。W杯では勝つことが一番大事。それがファンにも喜んでもらえることなので。とにかく勝つ、勝ちたい。それだけですね」
◇斎藤 直人(さいとう・なおと)1997年(平9)8月26日生まれ、横浜市出身の29歳。神奈川・桐蔭学園高-早大を経て20年にサントリー(現東京SG)入団。昨季まで2シーズンは仏トゥールーズでプレーし、今季から東京SGに復帰。21年6月の全英&アイルランド代表戦で代表初キャップを獲得し、通算36キャップ、6トライ、42得点。23年W杯代表。1メートル65、73キロ。

