「缶詰フルーツ」は“血糖値”を急上昇させる?糖尿病を招く3つの理由【医師監修】

缶詰のフルーツには、ブドウ糖・果糖・シロップ由来のショ糖など、複数の糖質が組み合わさって含まれています。特にシロップの液体状の糖分は消化・吸収が速く、食後の血糖値を急激に上昇させやすい特徴があります。生の果物と比べてGI値(血糖値の上がりやすさを示す指標)が高くなる傾向があり、血糖値スパイクを引き起こすリスクについて解説します。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)

2014年岩手医科大学卒
2016年仙台市立病院循環器内科
2019年江戸川病院糖尿病・代謝・腎臓内科
2023年岩手県立中央病院糖尿病・内分泌内科 兼 救急診療科
2023年医療法人社団啓愛会理事
2026年孝仁病院美希病院
所属学会
日本医師会 産業医
日本循環器学会 循環器専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内科学会 総合内科専門医

缶詰のフルーツと血糖値の関係:上昇するメカニズム

缶詰のフルーツを食べると「血糖値が上がりやすい」と言われますが、体内では具体的にどのようなことが起きているのでしょうか。このセクションでは、糖質が吸収されて血糖値が変化するメカニズムと、缶詰フルーツ特有のリスクを詳しく解説します。

血糖値が上がるメカニズム

「血糖値」とは、血液の中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。私たちが食事から炭水化物(糖質)を摂ると、消化酵素によってブドウ糖に分解され、小腸から吸収されて血液中に入ります。これにより血糖値が上昇します。

缶詰のフルーツには、以下の3つの糖質が組み合わさって存在しています。

・ブドウ糖(小腸から速やかに吸収され、直接血糖値を上げる)

・果糖(主に肝臓で代謝されるが、過剰分は脂質や糖に変わる)

・ショ糖・加糖ブドウ糖液糖(シロップに含まれ、分解されてブドウ糖と果糖になる)

特にシロップに含まれる液体状の糖分は、固体である食べ物よりも胃を素早く通過し、小腸で一気に吸収されます。そのため、食後の血糖値を非常に速いスピードで跳ね上げてしまいます。

血糖値の上昇スピードを示す指標として「GI値(グリセミック・インデックス)」があります。GI値が高い食品ほど血糖値を急激に上げやすいとされていますが、生の果物の多くが低GI~中GI値(GI値30~55程度)であるのに対し、シロップ漬けの缶詰フルーツは高GI値寄りに変化します。食物繊維による吸収遅延効果が薄れ、精製された砂糖シロップがダイレクトに吸収されるためです。

さらに最近では、一回の食事で摂る糖質の「量」も考慮した「GL値(グリセミック・ロード)」という指標も重視されています。缶詰フルーツは一回に食べる糖質量が多くなりがちなため、GL値も非常に高くなり、血糖値を急上昇させてしまう可能性があるのです。

生のフルーツとの血糖値への影響の違い

生の果物と缶詰のフルーツでは、同じ果物であっても血糖値への影響が異なる点があります。その違いを理解することで、缶詰のフルーツとの上手な付き合い方が見えてきます。

生の果物には食物繊維が豊富に含まれており、糖質の消化・吸収を緩やかにする働きがあります。このため、生のりんごや桃を食べた場合と、同量の缶詰フルーツを食べた場合とでは、食後の血糖値の上がり方に差が生じることがあります。缶詰のフルーツは皮が取り除かれていることが多く、また果肉が柔らかく噛む回数が減るため、生の果物に比べて糖分が素早く吸収されやすくなります。

また、シロップ自体にも糖分が含まれているため、缶詰のフルーツをシロップごと食べると摂取する糖質の量がさらに増えます。シロップを切ってから食べるだけでも、糖質量をある程度抑えることができます。ノンシュガーのシロップを使用した缶詰を選ぶことも、血糖値への影響を和らげる方法のひとつです。

さらに、缶詰のフルーツは甘みが強いため、ついたくさん食べてしまいがちです。結果として、糖質の総摂取量が生の果物を食べる場合よりも多くなることがあり、その分だけ血糖値への影響も大きくなる傾向があります。

まとめ

缶詰のフルーツは適切な量と食べ方を守れば、日常生活を豊かにしてくれる食品のひとつです。血糖値や糖尿病が気になる方は、まず主治医や管理栄養士に相談し、自分に合った食事プランのなかで楽しんでみてください。気になる症状がある場合や健康診断で血糖値に異常を指摘された場合は、早めに内科や糖尿病内科を受診することをおすすめします。

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

農林水産省「果物の消費と健康に関する情報」

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 糖尿病情報センター「糖尿病の食事療法について」

農林水産省「食事バランスガイド」