防犯カメラを自動鳥類識別システムに変えた方法

「BirdNET-Go」は家庭用セキュリティカメラのマイクを活用し、鳥類やコウモリの鳴き声をリアルタイムで検出・識別するツールです。AIモデルをローカル環境で実行するため、プライバシーが漏洩する心配はなく月額料金も不要です。ロサンゼルス在住のIT技術者であるジェイソン・タッカー氏はBirdNET-Goと自宅の防犯カメラを利用して自動鳥類識別システムを構築し、日常生活がどう変化したかについて述懐しています。
https://jasontucker.blog/how-i-turned-my-security-cameras-into-an-automatic-bird-identification-system-with-birdnet-go/
タッカー氏は妻が「野鳥の鳴き声を聞いてスマホで野鳥の種類を識別する」のを趣味にしているのを見て、野鳥の鳴き声から野鳥の種類を識別する仕組みがないか調べるうち、BirdNET-Goを見つけました。BirdNET-GoをDocker上で動かし家の外に設置してある防犯カメラと組み合わせれば家の周りの野鳥を識別できると考えたタッカー氏は、早速家の防犯カメラ3台のマイクを使って野鳥の識別を開始しました。

ちなみに、上図の「Top 10 Species(上位10種)」の野鳥は以下の通りです。
1. House Finch(メキシコマシコ)
2. Northern Mockingbird(マネシツグミ)
3. Hooded Oriole(ムナグロムクドリモドキ)
4. House Sparrow(イエスズメ)
5. Cassin's Kingbird(ハシボソタイランチョウ)
6. Mourning Dove(ナゲキバト)
7. California Towhee(カリフォルニアムジトウヒチョウ)
8. Lesser Goldfinch(ヒメキンヒワ)
9. Barn Owl(メンフクロウ)
10. Great Horned Owl(アメリカワシミミズク)
BirdNET-Goは24時間365日バックグラウンドで常に稼働しており、周囲で野鳥がさえずり始めるや直ちに音声を分析して識別を実行します。

識別はすべてローカルのハードウェア上で実行されるためクラウドサービスやAPI呼び出しも不要です。AIモデルはローカルのサーバーやRaspberry Pi上で動作するため、高速かつプライベートで実行でき月額料金もかかりません。モデルギャラリーの変更も可能で、ビルトインのBirdNET 2.4でも6000種を検出できましたが、Google Perch v2に変更すると1万4795種を検出できるようになりました。

珍しい野鳥が現れた時のためにアラートの設定を行うことができます。

アラートはプッシュ通知以外にDiscordサーバーを指定することもできます。

初めて訪問した野鳥を追跡することもできます。検出されたすべての野鳥の種類をリストアップし続けるので、庭の生物多様性が時間とともにどのように変化していくかを見ることができます。

カメラがReal Time Streaming Protocol(RTSP)に対応していれば、すぐにBirdNET-Goで使用することができます。最近のIPカメラはほぼすべてRTSP対応なので、BirdNET-GoにストリームURLを指定するだけで使用できます。

BirdNET-Goは、野鳥の検出データを共有するためのコミュニティプラットフォームである「BirdWeather」と直接連携しているため、自分の観察データをBirdWeatherに提供することもできます。また、BirdNET-GoはMessage Queuing Telemetry Transport(MQTT)を使用してHome Assistantに接続することができます。

BirdNET-Goは野鳥以外の声についても対応しており、コウモリやカエルの鳴き声も検知するとのこと。また変わったところでは、近所の人がタッカー氏の家の前を通りかかった際におならをしたのが検知されたそうです。

タッカー氏はさらにSaezuriというBirdNET-Goインスタンス用のセルフホスト型ディスプレイを見つけたのでDocker上で実行したところ、数分で検知した野鳥の種類に応じた木版画風のコラージュ画像が生成されました。SaezuriはBirdNET-Goにとって素晴らしいフロントエンドであるとタッカー氏は大いに満足しています。

ただ、Saezuriが「おなら」の画像を探している様子がログに残っているのがちょっと気がかりなようです。

タッカー氏は一時的な興味からBirdNET-Goを核としたシステムを構築しましたが、日々の利用で野鳥の行動パターンを学んだりこれまで知らなかった地域の野鳥を見つけたりするなど、当初の予想以上の楽しみを見出し、防犯カメラがセキュリティの域を越えた実用的なツールへと進化したと述懐しています。マイク付きのカメラがあり、少しでも鳥類への関心があるならば、日常生活が向上するのでBirdNET-Goの導入を試す価値は大きいとタッカー氏は述べています。
