仕事がデキる人は何が違うのか。戦略系コンサルタントとしてSNS上で活動する、とあるコンサルタントさんは「仕事の能力に関係なく、知っているだけで差が出るポイントがある。例えば、会議での立ち回り。発言をするかしないかにかかわらず、場を支配できる“おいしいポジション”が存在する」という--。

※本稿は、とあるコンサルタント著『仕事が速い人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

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■冒頭5分は沈黙でいい

参加者の貴重な時間を使って会議をするからには、「歩留まり」(その場で物事が決まる割合)はできるだけ高くしたい。

議題についていろいろな意見を出し合い、方向性を決められたら、その会議は成功だ。

まず、典型的なまずい会議を挙げておこう。

資料を読み上げる人がいて、参加者はそれをひたすら聞いているというものだ。

これは本当に時間の無駄で、それなら「資料を読んでおいてください」で済む。日本の学校では、生徒に教科書を読み上げさせて全員で聞いていたりするが、ああいう悪習が染みついて、ビジネスの世界にまで影響しているのだろうか。

資料があるなら、会議前に配っておくのが基本だ。

とはいえ、配ってもみんな忙しくて読んでこないことも多い。

その場合は、冒頭の5分を黙読の時間に充ててしまえばいい。

誰かが音読するより、各自で黙読してもらうほうがはるかに効率的だ。なんせ人間は、音読より黙読のほうが圧倒的に速く読めるのだから。

■「ホワイトボードの前に立った人」が勝つ

その上で、会議をスムーズに終わらせるために、次のことは事前に共有しておきたい。

・プロジェクトの目的
・アジェンダ
・アジェンダごとの時間配分

そして会議の最中に効くのが、ホワイトボードだ。

自分が会議を主宰するときはもちろん、他の誰かが進行していて話がまとまらないときも、書記役を買って出るといい。ホワイトボードの前に立って、「いま、話に出ている要素はこんなところですね」とみんなの発言を書き出していく。それだけで議論はぐっとまとまりやすくなる。

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宮本武蔵の兵法書「五輪書」には「太陽を背にして構えろ」とあるが、コンサルタントの世界では「ホワイトボードを背にして会議に臨む」のが勝ちパターンだ。これはコンサル以外でも使える技術で、場を支配する力が格段に高まる。

ホワイトボードの前に立つと、参加者全員が注目するので、慣れないうちは緊張するだろうが、これは完全に慣れの問題だ。まずは社内の小さなミーティングで試してみればいい。

■異論が出ない会議の落とし穴

いろいろな意見が出て、まとめるのに苦労する会議は、むしろ健全で成果も出ている。

厄介なのは、盛り上がらない会議のほうだ。誰も何も喋らず、シーンとしている会議は歩留まりが低い上に、場の雰囲気も悪くなる。関係者の空気が悪くなると、往々にして仕事にも支障を来す。

誰からも意見が出ないとき、「では、異論がないようなので、これで進めますね」と議題を締めてしまうことはできる。

しかし、そのときは黙っていた人が後になって抵抗勢力に回り、面倒なことになるというのもよくある話だ。

それを避けるためにも、会議では各人に自ら発言してもらい、納得して進めるのが理想である。発言が出ないようなら、一人ずつ順番に指名して意見を求めるのもいい。

学級会じみて幼稚にも思えるが、意外と効果的だ。

なお、会議の場ではなく、後から一人ひとりに意見を聞いて回るタイプの人もいる。だが、それではコンセンサスは取れず、各人がバラバラなことを言ってまとまらない。仕事が終わらないパターンにまっしぐらだ。

■あえてちょっとバカの役を演じる

意見を引き出すテクニックとして、進行役があえて極端なことや、少し間違ったことを言うという手もある。いわゆる「マクドナルド理論」だ。

「昼飯、どうしよう?」と声をかけても、誰も何も提案しない。そんなとき、誰かが「じゃあ、マクドナルドにしよう」と言う。すると、「マックはちょっと……」「焼肉にしようよ」などと意見が出始める。最低限のたたき台を誰かが先に出すと、他の人は「それよりいい案を出そう」とする。その心理を利用したテクニックである(ちなみに私は、マクドナルドのハンバーガーも時々無性に食べたくなるのだが)。

同じ理屈で、ある分野に詳しい人の前でわざと少し間違ったことを言えば、その人は喜々として訂正してくれる。アイスブレイクにもなるし、基本知識をみんなにレクチャーしてもらう機会にもなる。

会議に限らず、「間違えないように」「バカにされないように」と気を張りすぎないほうがいい。あえてちょっとバカの役を演じたり、人から指摘されても気にしなかったりする度量があるほうが、人との関わりはうまくいくものだ。

■参加者は5~8人がベスト

意見はいろいろ出るが、方向性がバラバラでまとまらない。

結局「今回は、とりあえず検討しておくということで……」と、ふんわりした状態で放置される。

そんな歩留まりの悪い会議を経験したことがある人も多いだろう。

これはなかなかの難問で、私は個人的に多様性と効率性はトレードオフの関係にあると思っている。

「長期的には多様性があるほうが効率がよくなる」という説もあるが、目先の話でいえば、多様性が少ないほうが話は早い。

極論、一人の独裁者が決めるほうが、とりあえず物事は最速で進むに決まっている。だからこそ仕事では、多様性と効率性のバランスに苦慮することになる。

ヒントになるのが、意思決定のコストだ。

会議のコミュニケーションコストは、参加者の二乗に比例するといわれる。出席者5人の会議に対し、2倍の10人なら4倍、300人なら16倍のコストがかかる計算だ。

では、意見の多様性と意思決定の効率性は、どのくらいがちょうどいいのか。

参考になるのが、Amazon創業者ジェフ・ベゾスの「ピザ2枚ルール」である。

写真=iStock.com/Zolga_F
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ベゾスは「社内のすべてのチームは、ピザ2枚でちょうど賄える人数でなければならない」というルールを定めた。チームや会議の生産性が最も高くなるのは、ピザ2枚で賄える程度の人数、だいたい5~8人だというのである。

とあるコンサルタント『仕事が速い人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)

私の個人的な経験でも、これくらいの規模がいちばんバランスがよいと感じる。

大勢の意見を吸い上げる機会や目安箱を作るのはいい。

だが、それを受けて実際に意思決定をする場は、別に設けるべきだ。

そして意思決定の場こそ、ピザ2枚ルールに従ったほうがいい。

腹をくくって決める責任者を置かないと、結局何も決まらないということである。

会議では率先して「書く人」を担い、意思決定のルールも持っておく

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とあるコンサルタント(とあるコンサルタント)
コンサルタント
1982年生まれ、東京大学工学部及び東京大学大学院卒業後、戦略系のコンサルティングに従事しているベテランコンサルタント。専門分野は製造業で、その中でも特に重厚長大な産業が得意。中期事業計画の策定や新規事業の立ち上げ支援を中心に幅広いプロジェクトを通じてクライアントを支援している。仕事でたまったストレスを燃料にしてX(旧Twitter)にコンサルの業界ネタを投稿していたところ、内輪ネタで盛り上がってフォロワーが増加。あれよあれよという間にフォロワーが6万人を超え、最終的に出版につながった。著書に『プロの仕事と業界を覗いてみよう コンサルの歩き方』(ソーテック社)、『仕事が速い人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)がある。
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(コンサルタント とあるコンサルタント)