小学校の女児と性交した男に“執行猶予付き”判決…元裁判官が憤る、市民感覚と刑事裁判の“埋まらない溝”
13歳未満と知りながらSNSで知り合った小学生とカラオケ店で性交したとして、不同意性交等の罪に問われた大学生(22)に、福岡地裁小倉支部は7月13日、拘禁刑3年・執行猶予5年を言い渡した。求刑は拘禁刑5年。示談成立も考慮され実刑は回避された。
“白ブリーフ判事”こと元裁判官の岡口基一氏は、「小学児童カラオケ店不同意性交事件」について独自の見解を述べる(以下、岡口氏の寄稿)。
SNSを通じ性犯罪に巻き込まれる子どもは後を絶たない。特に小学生の被害は急増しており、そんな報道を見るたび暗澹(あんたん)たる気持ちになる。
子どもの安全を守るために、厳罰化や規制強化を求める機運も高まっているというが、7月に福岡地裁小倉支部で出された判決は、こういった怒りの声を逆撫でするような判断だったのではないか。
SNSを介し知り合った小学校の女子児童とカラオケ店内で性交に及んだとして、22歳の男子大学生が逮捕・起訴された。被告人となった男は、相手が小学生だと知りながら犯行に至ったことを認め、拘禁刑3年、執行猶予5年の判決が言い渡された。
刑事裁判では多くの場合、罪を犯したこと自体は争わない。そのため、どれくらい重い刑を科すか、その「量刑」が最大の争点となる。
よって判決は「刑を重くする方向の事情」と「軽くする方向の事情」を勘案し、その量刑に至った理由を詳しく説明する体裁になっている。
今回の判決において、刑を重くする方向の事情として挙げられているのは、被害者が性的に未熟な年齢であることを顧みなかった点や、性交の途中まで避妊具を着けないなど被害者の心身への配慮を欠いた点など。一方、刑を軽くする方向の事情を見ると、初犯であること、両親が被告人を指導監督すると誓っていること、性犯罪防止のカウンセリングを受けていること、そして被告人が示談金を払い、被害者側が刑事処分を望まないとする示談が成立したこと、などの理由が並んでいる。そして、これらを総合して判断した結果、法定の刑より軽い執行猶予付きの量刑とするのが相当としているのだ。
だが、この事件でもっとも考慮されるべきは、被害者が小学生にすぎないことそれ自体ではないのか。にもかかわらず、それについては触れられず、単に被告がそれを「顧みなかった」ことや「配慮しなかった」という被告の主観だけが、刑を重くすべき事情とされている。
