[本田泰人の眼]松木玖生のギラギラ感。世代交代とは、監督が若手を使うことではない。若手が今いる主力からポジションを奪うことだ
松木玖生には、「俺がこのポジションを奪う」というギラギラしたものが見えた。
3-1で勝ったウルグアイ戦。僕が一番の収穫だと感じたのは、右ウイングバックでA代表デビューを果たした松木だった。
開始11分。右サイドでサイドチェンジを受けてカットインすると、迷わず左足を振り抜いて得点。初代表だからといって、遠慮している感じがまったくなかった。僕は、そこを一番評価したい。
北中米ワールドカップを戦ったメンバーを脅かす選手が、どれだけ出てくるのか。僕がウルグアイ戦で見たかったのは、そこだった。その意味でも、松木は1つの答えを見せてくれた。
評価したいのはゴールだけではない。松木は「今は攻撃する時間なのか、守る時間なのか」を見ながらプレーできていた。
自分がボールを持って何かをしたいというエゴが先に来るのではなく、守る時間になればしっかり戻る。チームのためにハードワークもできる。右ウイングバックという本来のポジションとは違う場所で起用されながら、攻守の役割を理解していた。
代表では、こういう選手は使いやすい。しかも、初代表だからといって遠慮しない。日の丸を背負ってピッチに立ったら、「自分はこれができる」というものを堂々と出さなければいけない。
松木にはそれがあった。だから僕は、この試合のMVPに選ぶ。
一方で、厳しく言いたい選手もいる。
まず佐野航大だ。所属クラブで結果を残していることと、A代表で通用することは別の話だ。中盤の選手はボールを持った時だけではなく、守備のポジショニング、相手との距離、危険な場所を察知する力が必要になる。今回を見る限り、そこはまだ物足りなかった。
兄の佐野海舟は、やはり安定している。相手に寄せるところ、ボールを回収するところ、危険なスペースを埋めるところ。代表で何をしなければいけないのかが分かっている。兄弟で同じピッチに立ったからこそ、その違いも見えたように思う。
そして、もう1人。鈴木唯人にももっとやってほしい。このコラムでも再三、言っているけど、僕が鈴木を見ていて気になるのは、ボールを受けるために下がりすぎるところだ。シャドーの選手がボールに触りたいからといって、ボランチの位置まで下りてしまったら、相手のディフェンダーは怖くない。むしろディフェンダーからすれば、前から相手が1人いなくなってくれるわけだから助かる。

