【真壁 昭夫】そのときAppleのiPhoneはどうなるのか…OpenAI製「ChatGPTスマホ」の登場が現実味を帯び始めた

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ファーウェイのAI戦略

現在の世界のスマートフォン市場では、新たな需要創出に向けて「折りたたみスマホ」の覇権争いが激化している。その開発で先行し、市場を牽引しているのが中国勢だ。

とりわけファーウェイは米国の制裁をはねのけ、最新の独自チップを搭載した三つ折りスマホを発表するなど、技術的な覇者となる決意を世界に示した。一方で、Appleも折りたたみ型の新モデル“iPhone Duo”を発表したが、次世代の鍵を握るAI開発への出遅れが指摘されている。

前編記事〈iPhoneはもはや周回遅れのスマホに…各社が「折りたたみスマホ」の開発に躍起になる納得の事情〉では、こうしたスマホ産業の現状と、AI時代を見据えた中国勢の躍進について解説している。

ファーウェイの最新の三つ折りスマホ“Mate XT 2”は、同社の事業戦略である“1+8+N”を推進するための一施策だ。1+8+Nの1はスマホ、8は同社が提供するパソコンなど8つの機器、Nはその他無数のデバイスを意味する。

2019年に1+8+N戦略が始まった時、ファーウェイは、IoT技術でスマホなどを接続することを重視した。現在、その戦略は、同社のAI成長戦略の本丸を形成していると考えられる。

それは、Mate XT 2のソフトウェア構成を見ると実感できる。

ファーウェイが強いワケ

このスマホは、同社が開発した最新OS“HarmonyOS 7”を搭載している。HarmonyOS 7は、ファーウェイが主導して開発したAIエージェント“小艺(シャオイー)”と連動する。実体として、OSの中核がシャオイーというべきだろう。シャオイーは、ファーウェイが開発した大規模言語モデルの“盤古(パングー)”を基盤とする。

ファーウェイは、自社のAI関連事業の拡張を加速させるため、三つ折りスマホを投入したと考えられる。スマホをAIとのタッチポイントの一つに位置づけ、経済社会の全てのモノやサービスに結合しようとしている。

中国政府が総力を挙げて開発を支援している、ヒト型ロボット(ヒューマノイド)も例外ではない。これは、AIに出遅れたアップル、スマホの大量生産で世界シェア拡大を目指すサムスン電子との決定的な違いだ。

ファーウェイの事業戦略を支えるのは、中国の半導体やAI関連産業の成長加速だ。先端チップの製造に必要な超高純度のフッ化水素や、セラミックコンデンサの薄層多積層技術は発展段階といわれている。

一方、汎用型の部材や電子部品、さらには回路線幅7ナノクラスのチップ製造で国産化が加速している。さらに、外資系企業が中国に進出する際、現地企業との合弁会社設立を求められるケースが多い。これに伴い海外の高度な製造技術が事実上、強制移転され、AI開発を支えるスマホなどのデバイス開発は急加速している。

ファーウェイは、そうした先端産業のトップに君臨する企業といえる。

OpenAIによるスマホ開発の可能性

中国のスマホ業界では、ファーウェイのように、自社のAIモデルをOSに搭載したデバイスを発表する企業が増えた。それに対してアップルは、中国でアリババの通義千問をiOSに接続した。

そうした動きを見ると、当面、スマホはわたしたちがAIを使うメインのデバイスとしての役割を強めることになるだろう。AIスマホ開発競争の過熱は避けられないはずだ。エヌビディアが開発したPC用AIチップ“RTXスパーク”のように、スマホ上でネットと接続せずAIを動かし、モデルの調整も可能にするチップ開発競争が激化する可能性が高い。

今後のスマホ開発は、AI関連企業にも大きな影響を与えるはずだ。“Claude(クロード)”を開発・提供するアンソロピックや、“ChatGPT”を擁するオープンAI、“Copilot”を持つマイクロソフトなどが、自前で新たなスマホやそれに代わるデバイス開発を加速させる可能性は高まるだろう。

実際の製造は台湾や韓国の企業が担うことで、サプライヤーに対するアップルの影響力はさらに低下するかもしれない。半導体調達で、アップルの交渉力が低下しているのはそうした変化の兆候に見える。

いずれにせよ、iPhoneを展開するアップルにとって新たな競合の登場は脅威となるはずだ。

スマホのAIシフトに対応すべき

AIの新興企業をIT先端企業が買収して、競争力の高い推論モデルなどを取り込む。その逆に、AI開発企業がスマホなどを開発した企業に出資する。世界のAI分野で、こうした合従連衡が急速に増加することが見込まれる。

スマホに使われる日本製の部品のシェアが低下する中、わが国の企業は、そうした変化に対して迅速に対応しなければならない。そのためには、AI関連事業のしっかりした戦略を持つべきだ。

その対応が遅れると、インターネットやデジタル化への遅れに続き、AI時代にわが国が取り残されることになりかねない。今後、AIは既存のモノの機能を根底から変えるだろう。

本来、そうした変化に対応することは、モノづくりに強みを持つわが国企業の比較優位だったはずだ。日本企業はAI関連の事業戦略を策定・実行し、スマホをはじめとするAIシフトに着実に対応する必要がある。

スマホとAIは一見、関連性が薄いように見えるが、今後の展開次第では、両者が深く結びついて、次の世界経済のけん引役を果たすことも考えられる。わが国企業にも、そうした展望が必要だ。

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