『クールジャパン』の二の舞に? コンテンツ支援に再び巨費を突っ込む経産省の増長と人事の停滞
霞が関で経済産業省が怨嗟の的となっている。飯田祐二首席秘書官(1988年旧通商産業省)ら身内が要職を押さえる高市早苗「経産省」内閣の下、夏の霞が関人事では内閣府ナンバー2のポストを獲得するなど、「植民地」を拡大した。
さらに27年度予算の概算要求では、首相肝煎りの「『強く豊かな日本』投資枠」をフル活用し、主要官庁で最大規模となる約4.5兆円(特別会計を含めると約6.3兆円)を要求。経産省は首相の庇護をいいことに「自分たちは治外法権」とでも考えているようだ。
前編記事『自分たちは治外法権? 内閣府でも「植民地」を拡大…さすがに目に余る経産省の傍若無人ぶり』より続く。
クールジャパンと瓜二つ
こうした経産省の増長ぶりを象徴するのが、性懲りもなくアニメやゲーム産業などの支援策を大々的に打ち出したことだ。
コンテンツ支援を巡っては、所管する官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構、CJ機構)」が投資の失敗で約540億円もの累積赤字を抱えて廃止される方向となっている。
赤沢亮正経産相は「(責任を)重く受け止めている」と語ったが、その舌の根も乾かないうちに新たな施策を打ち出し、27年度予算でもアニメなどの海外進出支援を名目に1600億円超を要求した。
概算要求の締め切りを控えた8月下旬に公表した「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026~海外売上高20兆円に向けた『ものがたり大国5か年計画』~」に沿ってコンテンツ振興を改めて推進するという。
「創造力で稼ぐ国となる」とうたい、33年までにアニメやゲーム、漫画、音楽、映画の制作などに官民で約34兆円を投資して、日本発のコンテンツの海外売上高を現在の6兆円から20兆円に引き上げる計画をぶち上げている。
さらに、アートやデザイン、ファッション、伝統工芸品などについても海外の富裕層に売り込んで世界的なブランド化を目指す構えだ。カネをバラまけばコンテンツ産業が盛り上がるという短絡的な志向はCJ機構と瓜二つで、専門家の間では二の舞が早くも懸念されている。
モチベーションの低下
呆れるのはコンテンツ政策推進を名目に、新たな認可法人の設立まで目論んでいることだ。経産省幹部は、政府系機関「韓国コンテンツ振興院(KOCCA)」を司令塔にK-POPなどの世界展開に成功した韓国を引き合いに「日本にもコンテンツ振興に一元的に取り組む組織が必要だ」と力説する。CJ機構を発足させた十数年前にも聞いたようなセリフだ。
CJ機構の看板の架け替えで天下り利権拡大まで狙っているようにも映り、霞が関で「焼け太りも甚だしい」(財務省幹部)と批判する声が出ているのも当然だ。国が1400億円を出資するCJ機構の廃止を巡っては、損失の穴埋めで多額の国民負担が生じることが必至だが、経産官僚に反省の色は微塵も感じられない。
事程左様に絶頂期にある経産省だが、組織の内部には軋みもうかがえる。
飯田氏と同期入省の藤木俊光氏がともに次官を2年務める「同期回し」を行った結果、人事の停滞感が強まり、官僚のモチベーションの低下を招いている。88年入省組が計4年も次官に居座ったことで、省内では「89~91年入省組は次官昇格の芽が乏しくなった」と囁かれる。
「出世のスピードが遅い」
次期次官はともに92年入省組の畠山陽二郎経済産業政策局長や片岡宏一郎官房長が有力視されている。いずれも「甲乙つけがたい実力者」(元次官)とされるだけに、同期2人とも次官になる可能性もあるが、そうなれば人事はさらに停滞する。
年次を重視する霞が関では、先輩が昇格・異動しなければ上のポストには進みにくい。加えて、経産省の場合、日の丸半導体会社「ラピダス」や国産AI開発など巨額の税金を突っ込むプロジェクトを多く抱えていることから、事業に精通した官僚を今のポジションから容易に動かせない事情もある。
その結果、通常は2年程度で異動する審議官や課長クラスでも3~4年在任するケースもざらで、中堅官僚の間では「他省庁の同期に比べて出世のスピードが遅い」との不満も燻っている。フラストレーションが高まれば、パワハラなど不祥事の温床になりかねない。
飯田首相秘書官や藤木次官は高市政権で「我が世の春」を謳歌しているようだが、足元の組織運営にもっと気を配る必要があるのではないか。
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