ドキュメンタリー映画「襲名」の見所を語った歌舞伎俳優・市川團十郎(左)と三池崇史監督

写真拡大

 歌舞伎俳優・市川團十郎(48)の襲名に密着した映画「襲名」(三池崇史監督)が25日に公開初日を迎える。35年以上のキャリアを持つ三池監督の初ドキュメンタリー映画。映画「一命」(2011)などでタッグを組み、気心の知れた間柄の團十郎と三池監督がこのほど、スポーツ報知のインタビューに応じ、第83回ベネチア国際映画祭の公式独立賞で最優秀作品賞に輝いた世界的注目作の製作秘話を語った。(有野 博幸)

 「勧進帳」の舞台映像には、祖父の11代目團十郎、父の12代目團十郎の姿も。團十郎は「父が見たら、喜んだだろうな。親孝行になったと思います。じいちゃん(11代目)も、まさか孫と映画に出るとは想定してないだろうから、良かったと思います」。團十郎が江戸随一の色男を演じる「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」は出端(では)を収録。三池監督は「最終到達点ではないと思いますが、完成した美を感じたので、途中でカットできなかった」

 息子の市川新之助(13)の成長も、ひしひしと感じている。映画では19年、当時6歳の新之助が、父(團十郎=当時は海老蔵)が体調不良で休演した際に「外郎売(ういろううり)」の貴甘坊役を立派に勤めた様子が盛り込まれた。團十郎は「映画で初めて見たので、感動で涙が出ました」。それから7年が経過して「迷い、努力、才能、そして持って生まれた感覚が彼の中にあるので、それがどう変わっていくのか見守っています」と父親の顔を見せた。

 長女の舞踊家・市川ぼたん(15)の将来についても考えている。「彼女には才能があるし、舞台に立ちたいという意欲もある。でも、いきなり歌舞伎座で歌舞伎をやろうとするのではなく、僕が新橋演舞場で興行をやるときに舞踊をやったり、考えていけたら」。一般的に歌舞伎は子役を除き、男性のみで行われる演劇ということを踏まえて「女性が歌舞伎に出たら批判もあるでしょう。手順を踏まずにぽんぽん進めてはいけない。積み重ねが大事」と慎重な姿勢を見せている。

 「市川團十郎」は江戸時代から330年続く、歌舞伎界最高峰の大名跡。「歌舞伎十八番」などの芸を受け継ぎ、次代につなぐ使命を担っているが、「生まれ変わっても成田屋に生まれたい。プレッシャーは幼い頃から感じています。葛藤を抱えながら重責を力に変えていきたい」と頼もしい。

 ◆映画「襲名」 江戸時代から330年続く歌舞伎界最高峰の大名跡「市川團十郎」の2022年に行われた13代目襲名披露に密着したドキュメンタリー。多くの映画を演出してきた三池監督があえて演出を排し、歴史的瞬間の舞台裏を記録。第83回ベネチア国際映画祭の公式独立賞で最優秀作品賞を受賞し、「その美しさは、まさに一枚の絵画のようだ」と称賛された。