2021年頃の布施博(写真:ロケットパンチ)

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俳優の布施博(68)が代表取締役を務める芸能プロダクション「有限会社 馬力屋」が、東京地裁立川支部から破産手続き開始決定を受けたと、「週刊女性プライム」が報じた。

かつてトレンディドラマで一世を風靡し、情報バラエティー番組「伊東家の食卓」などにも出演していた人気俳優に何があったのか。そして会社の破産は本人の今後にどう影響を及ぼすのか。(ライター・中原慶一)

W介護に脊柱管狭窄症…トレンディ俳優の現在

布施といえば、ドラマ「抱きしめたい!」(1988年=フジテレビ系)、「ずっとあなたが好きだった」(1992年=TBS系)、「スウィート・ホーム」(1994年=TBS)などに出演し、バブル時代を象徴する“トレンディ俳優”のひとりだった。前出の記事では、“全盛期には年収が2億円を下らず、3億円以上の豪邸を購入し、2年で借金も返済できた”と、その稼ぎっぷりを伝えている。

1992年に女優の古村比呂と結婚し、3人の子どもに恵まれたが、2009年に離婚。その後、2010年代後半、布施が50代後半に差し掛かった頃から、その人生に暗雲が垂れ込める。

「認知症の実母を自宅で介護しており、仕事にも支障が出ていることを2016年にテレビ番組で初めて明かしています。2012年に再婚した女優の井上和子のお母さんも脳出血で倒れ、一時期は“W介護”の状態だったようです。実母は2018年に亡くなりましたが、その後、自身は、脊柱管狭窄症を発症、持病の痛風にも悩まされていたようです」(スポーツ紙記者)

それも関係してか、前出の記事では、ダンボールを杖代わりにして歩く白髪頭の布施の姿が掲載されている。

「弁護士に任せています」今後はどうなる?

東京商工リサーチによると、「馬力屋」は、1990年設立で資本金300万円。負債額は現在も調査中という。

布施自身は、「週刊女性プライム」の直撃に、「すべてを弁護士に任せていますから」と答えるのみだが、実際、経営していた会社が破産すると、その借金などはどうなるのか。企業法務分野で事業再生・倒産の案件に注力する菅谷良平弁護士はこう答えた。

「会社について破産手続開始決定がされると、原則として会社の財産は破産管財人(多くは弁護士)が管理・換価し、その代金を法律上の優先順位に従って債権者へ配当することになります。

法人には『免責』という制度はありませんので、厳密には『破産によって会社の借金が免除される』という仕組みではありません」

つまり、法人破産は、“会社の借金そのものを免除する制度ではない”ということだ。菅谷弁護士が続ける。

「もっとも、法人の場合、破産手続開始決定によって会社は解散し、破産手続が終了すれば、通常は法人格も消滅することになります。そのため、配当を受けても残った債権について、消滅した会社からさらに回収することはできなくなります。

なお、代表者個人が会社の債務を連帯保証している場合などには、会社が破産しても代表者個人の保証債務までなくなるわけではありません」

代表取締役である布施自身が、会社の連帯保証人となっているかは定かではないが、「中小企業では代表者が会社の借入れを個人保証していることも多く、その場合、会社の破産によって保証債務の請求を受け、代表者自身についても自己破産などの債務整理が必要となるケースがあります」(菅谷弁護士)というから、破産によって、布施個人が債務への対応を求められる可能性もありそうだ。

「会社の破産」と「自己破産」の違いとは?

ちなみに、6月7日公開の「介護ポストセブン」で布施は、妻と介護生活を振り返り、現在は妻の父親の介護にも向き合っていると語っている。自身の終活について聞かれると、「全然していません。お金もないし、資産もゼロですから」と回答。長年ほぼ毎晩飲んでいた酒についても、現在は禁酒しているという。

かつての年収が2億円と言われる布施が「資産ゼロ」とはいささか驚きだが、布施のように実質的に個人事務所とも言える小さな会社の「破産」と、個人の「自己破産」にはどのような違いがあるのか。菅谷弁護士はこう答えた。

「重要なのは事業の規模ではなく、“法人なのか、個人なのか”という点です。

一般に『個人事務所』と呼ばれていても、実際には株式会社などの法人である場合もあれば、個人事業主として事業を行っている場合もあります。前者であれば法人の破産、後者であれば事業主本人の自己破産という違いがあります。

株式会社などの法人が破産する場合には、前述のとおり、原則として破産管財人が会社の財産を管理・換価して債権者に配当し、最終的には会社そのものが消滅します。

一方、個人が自己破産した場合は、当然その人自身が消滅するわけではありません。生活を続ける必要がありますので、一定の財産は『自由財産』として手元に残すことができます。

また、破産手続をしただけで借金の支払義務がなくなるわけではありません。そのためには、裁判所から別途『免責許可決定』を受ける必要があります」

芸能事務所の倒産、2000年以降で最多のワケ

2023年以降、芸能事務所の倒産や廃業は増加している。帝国データバンクによると、2026年1~8月に判明した芸能プロダクションの倒産は16件。これまで最多だった2016年(通年)の15件をすでに上回り、2000年以降で年間最多を更新している。

「背景にはまず、コロナ禍以降のテレビ番組の制作費削減があります。同時にタレントはYouTubeやインスタグラムなどのSNSなどを駆使して自分で営業や収益化する例がますます加速しています。

さらに芸能界も変わってきて、以前と違い、タレントは契約期間が切れれば、何憚(はばか)ることなく移籍や独立ができるようになった。“新人に先行投資して育てて、売れてきたら元が取れる”という従来型の芸能事務所のやり方は立ち行かなくなってきているんです」(芸能メディア関係者)

2024年には壇蜜らが所属した「フィット」、藤原紀香らが所属した「サムデイ」が破産。2025年には、かつて小栗旬らを輩出し、多数の子役やエキストラのマネジメントを行っていた老舗の「宝映テレビプロダクション」も破産している。

布施博の「馬力屋」の破産理由の詳細は不明だが、こうした流れの中にあるケースと捉えることもできるかもしれない。華やかなトレンディドラマ全盛期を知る俳優を取り巻く環境も、すっかり様変わりしてしまったようだ。(敬称略)

■中原慶一
某大手ニュースサイト編集者。事件、社会、芸能、街ネタなどが守備範囲。実話誌やビジネス誌を経て現職。マスコミ関係者に幅広いネットワークを持つ。