競泳女子50メートル平泳ぎ決勝で、鈴木聡美(ミキハウス)が29秒91で銀メダルを獲得。35歳7か月で自身の日本記録を3年ぶりに更新し、同種目5大会連続のメダルを獲得した。2028年ロス五輪で採用される50メートル種目で、日本女子で初めて29秒台に突入した。男子200メートル個人メドレーは、松下知之(21)=東洋大=が制した。トライアスロン男子の北條巧(30)=NTT東日本・NTT西日本=が52秒56秒(スイム750メートル、バイク20キロ、ラン5キロ)で優勝し、日本選手団金メダル第1号。本格的に競技が始まり、日本勢は計6個の金メダルラッシュとなった。

 前人未到の領域に、35歳の鈴木が突入した。50メートル平泳ぎで、自身が持つ従来の記録(30秒10)を0秒19更新する29秒91をマーク。3年ぶりの日本新記録を樹立し、日本女子平泳ぎでついに30秒を切った。「嬉しかった。日本記録、そして29秒台に突入できたのは、だいぶ大きな一歩」。2010年広州大会から5大会連続メダルには「だいぶ、すごいこと」と自分を褒めた。

 失敗が許されない、一方通行の一発勝負。スタートから優勝した唐銭婷(中国)が抜け出したが、鈴木もグングン加速した。最後は伸びるか、もう一かきかくか迷ったというが、かいてこん身のタッチ。「力強さは、最後まで出し切ることができた」。30秒35で2位通過した予選からは、水をかく際の肘の角度などを微修正し、タイムの短縮につながった。

 24年パリ五輪は競泳史上最年長の33歳で出場。「年齢という概念を覆す」と、歳を重ねても進化している。パリ五輪前は、従来の泳ぎからハイテンポな泳法にチェンジ。今大会前も、8月のパンパシフィック選手権の反省を踏まえてスタートで飛び出す際の体の角度を微調整した。そして入水後に水の抵抗を受けないよう、体の方向転換の仕方をより滑らかにした。

 「挑戦して、この動きならスタートから遅れずにいけると実感も持てたし、自信を持ってレースに臨めた」。変化を恐れない心が、0秒2のタイムを削り出した。

 ロス五輪は37歳で迎え、出場すれば自身4度目の大舞台になる。平泳ぎ3種目で五輪切符を手にする可能性すらある、驚異の35歳。今大会も、個人で残る2種目はいずれもメダル候補だ。「(ライバルの)加藤心冨選手もベストを出している。どっちが勝ってもいいように。まずはそこの勝負と思いつつ、自分のレースがしっかりとできれば」。女子平泳ぎの第一人者の存在感が、どんどん増していく。(大谷 翔太)