【日本初の裁判】AI生成の画像に著作権はある?ない?画像販売会社が「無断掲載」されたとして提訴…利用した美容サロン「著作権は存在しない」と主張 判断基準はどこに?弁護士「国内にまだ法律がない」
完成形のイメージや雰囲気を文章などで入力するだけで、動画や画像をAIが自動的に作ってくれる「生成AI」。そんな生成AIによって作られた画像の著作権をめぐり、争いが起こっています。
【写真を見る】販売会社作成の画像と美容サロン使用の画像を並べると…
AIで作った画像に著作権は認められるのか…日本初の判断基準になるかもしれない注目の裁判について、レイ法律事務所の舟橋和宏弁護士に話を聞きました。
生成AI画像の著作権を巡る日本初の裁判
美容室の予約サイトなどで目にする、生成AIによってつくられたモデルの写真。
そもそも、生成AIとは、完成形のイメージや雰囲気を文章などで入力するだけで、動画や画像をAIが自動的に作ってくれるサービスのことで、一部は無料で使うことができます。
大阪市の画像制作会社「Sai」は、生成AIで作った“実在しない”ヘアカットモデルの画像を美容室に販売しています。性別や年齢、髪型や雰囲気など、様々な要素を生成AIに入力し画像を作っていますが、「“AI任せ”ではない」といいます。
1枚あたり40分ほどで制作
(Sai 片野正也社長)「指示をしたとしても思いどおりに(画像が)出てこないので。人間によっていろいろと工夫をしながら完成に近づけていく」
AIが作ったものに人間が細かな修正を加えて完成させていて、1枚あたりの制作時間は40分ほど。1100円から高いもので2万5000円ほどで販売してきました。ところが…
自社制作の画像と酷似した画像 無断で大量に掲載
今年4月、「Sai」が作った画像と酷似した画像が千葉県にある美容サロンの広告サイトに無断で掲載されていたことに気づいたのです。見比べてみても、服装は違うものの、顔や髪型はそっくりです。
Sai側によりますと、美容サロンが掲載した画像は、240点に上り(※少なくとも2025年12月~2026年5月にかけて)、「著作権を侵害された」として約2600万円の賠償を求めて提訴しました。
(片野正也社長)「AIクリエイティブの著作物性というのは認められていくべきだと思っています」
「画像はAIが生成したもので著作権は存在しない」
一方、画像を無断で使用したとされる美容サロン側は…
【美容サロン側の主張】
「画像はAIが生成したもので、著作権は存在しない」
「(制作時間が)40分で著作物性があるという主張は、異端だ」
賠償義務がないことの確認を求めて裁判を起こしています。
著作物の定義とは?「思想、または感情を創作的に表現」
「AIで作った画像」に著作権はあるのでしょうか?著作権に詳しい舟橋和宏弁護士は「国内にまだ法律がない」と話します。
そもそも著作権法で守られる「著作物」は一体どういうものなのか。
【著作物】
思想、または感情を創作的に表現したもので、文芸・学術・美術、または音楽の範囲に属するもの
一方で、単なる事実やデータ、ありふれた表現などは著作物にならないということです。
“創作的に”の判断基準は
日本では「AIと著作権」にまつわる法律がまだないということですが、2024年に文化庁が考え方の指針を示しています。
著作物の定義の中に出てくる「創作的に」という表現の判断基準については、▽AIへの詳細な指示・入力(分量・内容・修正の繰り返し)
▽できあがったものに人が加筆修正
としていて、これらの基準を基に個別に判断するとしています
法的拘束力は…
舟橋弁護士によると、これらはあくまで「考え方」であって法的拘束力はないということです。
(舟橋和宏弁護士)「文化庁の委員会で検討を重ねて『こういう考え方ができるのではないか』と出されたもので、1つの指針です。ただ、指示の内容や多さ、その後に加筆・変更しているかなどを総合して『著作権(創作性)があるか」を個別判断していくことになります」
著作権「ある」「なし」両者の主張は
今回の裁判における両者の主張を改めてまとめます。
【AI画像を制作・販売する会社】:著作権はある
・手作業で修正や加工
・熟練スタッフが1枚あたり 30~40分かけて仕上げ
・AIは単なる制作ツール(道具)
【改変して利用した美容サロン運営会社】:著作権はない
・30~40分で著作物性があるという主張は「異端」
・相手方は「AI生成コンテンツ」 などと表示・販売→「AIによる生成物」が明白
10月にも双方による協議が行われ、日本で初の判断基準になるとみられる重要な裁判になります。
舟橋弁護士は、今回の裁判で制作時間も含めてどのような要素が判断されるのか、非常に関心があると話します。
また、「●●風に」の指示は問題はないが、キャラクター名を入れたり特定の有名人を入れたりすると 権利侵害のリスクが高まるとしていて、町内会のポスターなど、外部の人の目に触れるものはさらに注意が必要だということです。
オマージュやパロディなど既存作品へのリスペクトを持ち “丸パクリ”にならないようにすることがトラブル防止につながるのではないか、ということです。
(2026年9月16日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
