認知症の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父と暮らすにしおかすみこに共感の声が集まる理由

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「ああ絶景かな

#サイン本 ひとつひとつに思いを込めて

#浮かれるすみこ」

9月10日、山積みとなった書籍を横にサインしている動画を、上記の言葉とともにインスタグラムやXなどのSNSにアップしたにしおかすみこさん。

山積みとなっているのは9月16日発売の書籍『ポンコツ一家 最後の2年』。サインをしているのは、9月16日にサイン会を行う書泉ブックタワーに向けたサインのみならず、リクエストが届いた書店様に配布するためのものだ。

では多くの書籍を扱う「本のプロ」のみなさんは、どのように受け止めたのか。ひと足先に読んだ書店員の方からの声を紹介しよう。

2020年コロナ禍に実家に帰ったら…

にしおかさんが認知症の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父との同居のことを赤裸々に綴る連載「ポンコツ一家」がFRaUwebにてスタートしたのは2021年のことだった。

“家族紹介。

うちは、

母、80歳、認知症。

姉、47歳、ダウン症。

父、81歳、酔っ払い。

ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。45歳。独身、行き遅れ。

全員ポンコツである。“

パワーワードばかりの書き出しだ。コロナ禍に久々に実家に帰宅したら実家がゴミ屋敷のようになっており、大黒柱の母も明らかに以前と変わっていた。そこから認知症が判明し、同居を決意したのだ。

これまでに新規書き下ろしを加え書籍『ポンコツ一家』『ポンコツ一家2年目』という書籍としてまとまり、「壮絶なのに笑って泣ける」「他人事とは思えない」「にしおかさんの文才がすごい」と話題に。累計77000部のヒット作となっている。

1冊目のときから一足先に読んだ書店の方から温かい声が寄せられてきたが、では今回の作品にはどのような声が寄せられたのか。

笑いなんて1ミリもないような日をユーモアで包む

「壮絶なのに笑って泣ける」「他人事じゃない」「なんでこんなにつらいことを笑いに転嫁できるの?」という声も多い。書店員の方々からも、「笑いに転嫁する」ことに対して感嘆の声が多く寄せられた。

“泣けるほど愛おしい家族が帰ってきた。笑ってる場合じゃない、笑いなんて1ミリもないような日だってその現実をユーモアで包んで差し出してくれるこの本にどれだけ救われたことか。笑うエネルギーすら勿体ないと思ってしまうくらい疲れた時でもパワーをくれるこの本に芸人にしおかさんの凄さを感じます。

意外と知る機会のないことも書かれていて視野を広げて思いやりを繋いでくれる世界に必要な本だと思っています!にしおかさん姉妹が笑顔で過ごせる日々でありますようにと心から願っています。“

“もう最初から最後まで圧倒されっぱなしでした。 介護や大切なご家族とのお別れなど、当事者にとっては本当に身が削られるほど大変な出来事ばかりのはずなのに、にしおかさんが書かれるとどうしてこんなにサラッと、ユーモアいっぱいに読めてしまうのだろうと……感慨深くなりました。 次から次へと怒涛のように巻き起こる日常に振り回されながらも、クスッと笑いに変えていく姿に引き込まれ、気づけば胸がいっぱいになっていました。 介護に直面している方はもちろん、たくさんの読者の方の心を軽くしてくれる、最高の1冊ですね!”

毎朝5時起きで作り置きしたご飯を…

たとえば、にしおかさんは毎朝5時起きで家族3人のご飯を作り置きしてタッパーに分け、冷蔵庫や冷凍庫で保管していた。何が入っているかひと目でわかるようにし、ひとりひとつのタッパーにして食べる時間が異なっても大丈夫にしている。冷蔵庫はまるでお惣菜屋のようだ。

しかしレンジに山ほどのタッパーや冷凍していたご飯が解凍されて入っていて、もはや食べられない状態になっていたこともあった。

かつては自分がお金の管理をしているのに「ドロボー!」と言われたこともある。

そう文字で見るととてもきついことだけれど、それを軽やかに笑いに転嫁する。「笑ってる場合ではない」ことに笑いを見出すことで、ちょっと楽になることに気づかされる。そしてなにより、全力で挑む姿に賛同の声が寄せられているのだ。

“大好きな「ポンコツ一家」シリーズの第三弾を楽しみにしておりました!

今作も、全てのエピソードに心がゆらめきまくりで、ページをめくる手が止まりません。 おちゃめなお母さん、ピュアなお姉さん、我が道を進むお父さん。そして、家族を全身全霊で支えるにしおかすみこさん。 それぞれが織り成す日常エピソードに、時に笑い、時に哀しみと色鮮やかなさまざまな感情があふれました。

また、にしおかさんが、お母さんやお姉さんのために全力で奔走する姿に、胸がぎゅっと熱くなります。 不測の事態や非常事態が次々と立ちはだかっても、苦難のハードルを懸命に飛び越えていく姿から、愛があふれたパワーを感じずにはいられません。 その一途さと覚悟に、心が深く揺さぶられていきました。

ページの隅々までに、ビッグラブと切実なユーモアが凝縮された喜怒哀楽の輝きが散りばめられています。 切なさもやるせなさも全部受け止めながら、それでも明日を進んでいくにしおかさん。 その姿に、何度も大きな勇気とパワーをいただきました。 喜びと悲しみ、切なさと涙がぎゅっと込められた、心がどんどん笑顔になる温かなファミリーエッセイ。 まだまだ、にしおかさんが進まれる道を応援&追いかけていきたいです! “

“最初の1冊目を読んだ時、大変な状況だと思ったけれどさらに過酷な感じになっているではないか。しんどいこともいっぱいあるし読んでいると泣きそうになった場面も……。

それでも著者が家族のことを思う確かな愛情を感じた。きれいなだけの愛情じゃなくて複雑に入り混じるリアルな気持ちが伝わってきて胸が締めつけられた。しかし、この酔っ払いのお父さんだけはどうしようもなく腹立たしかった。いつかくる別れを予感しながら家族を支えるにしおかすみこさん。もっと自分のことを優先にしてほしいと思うけれども現実にそんなことはできないことも分かって辛い。最後は本当に泣いてしまった。家族のこと、介護のこと、これは他人事ではないお話なんです。

「2025年11月、母が逝った」

にしおかさんの母は、かつて看護師で、まさに家族の大黒柱。『ポンコツ一家 最後の2年』の「最後」というサブタイトルの意味は、2025年11月に突然母が天国に旅立ったからだ。

『ポンコツ一家 最後の2年』冒頭では、にしおかさんがこのようにつづっている。

“2020年、コロナ禍。千葉の実家、そこはちょっとした「ゴミ屋敷」だった。

母の異変に気づき、まとまるはずのない家族の渦に飛び込み、溺れる。

それでも経験を積み、私はより図々しくアップデートされた。

だが、母姉父のアクの強さは、その進化を軽々と追い越してくる。

自分ファーストを掲げながら、即座に白旗を振る。そんな矛盾だらけの日常。

そして、2025年11月。母が逝った。“

(『ポンコツ一家 最後の2年』「ポンコツ家族紹介」より)

こんな追悼コメントも多く寄せられた。

何が起こっても、少し離れた視点で笑いに変化させて家族を見守れるにしおかさんは、包容力と愛に溢れた方だと思いました。一人で様々な物を背負って大変だった事だと思います。同じく介護を担う者として、この本をバイブルとさせて頂きたいです。最後にお母様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

【追悼】 にしおかさんの、とても明るくパワフルなお母さまが、 ご逝去されたことが今でも信じられません。 個人的に大変厚かましながらも、とても親近感を感じ大好きでした。 本当に寂しく悲しい気持ちでいっぱいです。 心よりご冥福をお祈り申し上げます。 愛に満ちた本作が、お母さまの心に届きますよう深く祈っております。”

“西岡さんのお母様が亡くなられたのは知っていたので、覚悟を持って読みました。 それでも泣きました。私のちっぽけな覚悟なんてあっという間にどこかへ行ってしまい、想像を超える現実に圧倒的に打ちのめされました。何ができるわけでもないけれど抱きしめて、よく頑張ってるねって声をかけたい気持ちでいっぱいです。

「初めて読みました」

シリーズ3冊目というが、当然今回初めて読んだという方もいる。

“にしおかさんの泣き笑いエッセイ。すみません、初めて読みました。家族とのいさかい、ちょっとした笑い、家族であるが故の喜び。私も泣き笑いしながら読ませて頂きました。一番印象に残ったのは、ママが亡くなってお姉ちゃんが背中をトントンしてくれて、「どうする?」って聞いて涙を流したのを見て、にしおかさんが「ずっと、お姉ちゃんでいてくれるのだなあ」と思ったシーンです。もう初っ端から号泣でした。家族っていいな。生臭いけどいいな。”

◇1冊目のときから、「ポンコツ一家」シリーズに寄せられる声に多くあるのが、「実はうちも」という体験だ。介護や認知症、高齢化社会が誰にとっても他人事ではないことが伝わってくる。

後編「「実は私も母を看取りました」認知症の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父と暮らすにしおかすみこから続く「優しさのバトン]」ではそんな体験も含めて書店員のみなさまのリアルな声をお届けする。

【通常の連載は2026年9月20日(日)公開予定です】

【後編】「実は私も母を看取りました」認知症の母、ダウン症の姉、酔っぱらいの父と暮らすにしおかすみこから続く「優しさのバトン」